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M-1寸評(その2)

前回の続きです。

●トータルテンボス
実は、今回一番応援していたコンビ。
2年前のM-1決勝にも出場しましたが、その時は、あまり目立った存在にはなれませんでした。昨年(2005年)は、さらに進化して、優勝候補になるのでは?と密かに期待していたのですが、準決勝で敗退(本人のブログを見ると、相当悔しかったようです)。
実はどちらも31歳とそんなに若くはないですが、比較的若者風に見える風貌と、中高年でも安定して見れるネタのわかりやすさの両方を兼ね備えているということでは、今の若手の中では稀有な存在だと思います。
オンエアバトルでは2年連続ファイナルに進出するなど安定した成績を残しているだけに、M-1でも爆発して一気にメジャーな存在になってほしいなあ、と思っていました。
で、ネタは「グルメリポーター」。
いつものごとく、若者言葉と逆に古めかしい言葉を織り交ぜながら進行。ネタの運びは安定している印象を受けたのですが、笑いの部分はちょっと薄かったかも(特に中盤、お客さんの笑いを一番つかみたいところでの「ご主人が……ラーメンを作っていますよ」を繰り返すくだりは、間延びした感が)。
全体を通して感じたのは、何か2人だけで漫才をやっていた印象でした。2人の仲がいい(←おそらく)だけに舞台の上だけで世界が完結してしまっていて、肝心のお客さんまで取り込めなかったかな、という感じがしました(同じネタをコントでやったら、もうちょっとお客さんの反応も違ったかもしれませんが)。
最初の期待が高かっただけに、個人的評価は78点(審査員評価は613点)。
技術的には、すでに高いものを持っているだけに、もう一つ爆発的な笑いを起こさせる何かがほしい、そう感じさせられた今回の漫才でした。

●チュートリアル
前回に引き続いて、決勝進出。
ネタ前の、紹介Vでは、徳井の妄想キャラぶりがクローズアップされていましたが、「毎回そいういうネタというわけではない気もするんだけどなあ……」と思いつつ、ネタを見始めました。
「最初は、つかみネタから入るのかなあ」と思っていたら、いきなり本題へ(「冷蔵庫の買い換え」)。
ちょっと虚を衝かれた感じで見ているなかで、ネタは進んでいきました。「昨年のバーベキューネタに似ているなあ」と思いながら見ていましたが、ネタを広げるバリエーションは多彩だったように感じました。
特に、「右も左も開く」ことに時間差で食い付いたところは「ドカーン」と来た気がします。
個人的には、昨年の「近代バーベキューの父、トーマス・マッコイ」ほどのボケは見られなかったと思いますが、会場的には爆発したようでしたね。
個人的評価は、最初のところで、ちょっと食いつけなかったのもあって84点でした(審査員評価は、664点でトップに)。

●変ホ長調
M-1史上初めてのアマチュアコンビというふれ込み。果たしてどんなネタをやるか?と思ってみ始めました。
ネタは、「負け犬2人の茶飲み話(?)」。
スタイルは、ともに視線をクロスさせずに、学芸会のリハーサル(?)のように、替わりばんこにセリフを棒読みするような感じ。もう少し違ったアマチュアっぽさ(例えば、アマチュアでしか出せないようなシュールさ)を期待していたところもあったので、ちょっとがっかりしました。
ネタとしてはテレビネタが多く、芸能人を揶揄するものが多かったですが、それだけではキツかったかも(高橋英樹の娘(→フジテレビアナ)のことに切り込んだところ、橋田ファミリーが年々減っている、といったくだりは面白かったですが)。
プロアマ問わず、芸能人いじりネタは、手っ取り早く笑いをとれる方法ではありますが、あきられるのも早いと思います(あと、使い古されたボケをやった時などは、ちょっと見ている側の温度が冷めるときがあります。今回のネタでは、錦織と植草のことに触れたときに、「もう古いかな~」と思いました)。いずれにせよ、期待値からはかなり離れた出来でした。
個人的評価は71点(審査員評価は576点)。

●笑い飯
おそらく今回、優勝候補と目されていたコンビ。
ネタは「子どものしつけをするための昔話(後半は、若干変化)」。
実は、1週間ぐらい前に、このネタを深夜にさまぁ~ず司会のネタ番組(日本テレビ系)で見てしまっていました。ということで、面白い面白くないの判断ができず。
ただ、その番組を見たときの感想では、そんなに面白いという印象を持てませんでした。
個人的感想は83点。審査員評価は626点ということで、麒麟と1点差で決勝進出ならず。
正直、M-1での笑い飯の評価は高いものの、他の番組でネタをやっているときに、お客さんをつかめているかというと、意外とその確率は高くない気がします。
ダブルボケは、いまだに他のほとんどの芸人がやっていない手法ですが、それだけで新鮮味を感じるときは過ぎたと思います。やはり、もっとボケの「笑い」度を濃くする、あるいは通り一遍のパターンが多いツッコミの部分をもっと多様にしていく(以前やっていた「俺の面白いの、とるな~」といったようなツッコミを織り交ぜていく)、ということをやっていかないと、この先も厳しいのではと感じました。

●ライセンス
敗者復活戦で進出。正直、「なぜライセインス?」と思った人も多かったと思います(自分もそのうちの一人)。その「なぜ?」の部分を解消してくれるようなネタを期待して見ていました。
ネタは、「大人向けのドラえもん」。
結構オーソドックスな作りで、安定していたとは思うのですが、「普通すぎたかな~」という印象。
決勝という、ある意味「爆発力」を期待される舞台ではインパクトが弱かった気がします。
ある意味、最初から決勝に選ばれるよりも難しいのでは、と思うほどの敗者復活戦を勝ち抜いたのだから、もう少し面白いネタを見せてほしかったという意味で、個人的評価は72点(審査員評価は613点)。

ということで、決勝進出者は、チュートリアルフットボールアワー麒麟の3組。

その決勝、麒麟→フットボールアワー→チュートリアルの順番。

1回戦のチュートリアルとフットボールの差は24点と結構開きがありましたが、今までの実績からいうと、フットボールの方が有利か、さらには麒麟も十分にチャンスがある、と見ていました。

その決勝ですが、あまりに長くなりすぎたので、端折ります(^^)。
簡単な印象を言うと、

麒麟
ネタ中、ずっと同じ笑いの量で進んでいったためにインパクトが薄かった。繰り返しになりますが、今回はチャンスだったのに……。

フットボールアワー
居酒屋の店員という、岩尾のキャラを生かした設定だったが、ネタの一番の軸が「取り皿」だったのは、ちょっと弱かったか。

チュートリアル
1発目のネタが大ウケしたことで、すでに会場が笑ってくれる雰囲気があった気が(そこが一番の勝因では)。「自転車のチリンチリン」というマニアックなネタにもかかわらず、会場の食いつきは早かった。
徳井の妄想の広がりっぷりが、完全にハマった形(後で大阪にいた人に聞いたところ、ネタ自体は古くからやっているネタだそうですが)で、1本目以上に爆発した気がします。

といったところで、チュートリアルの優勝は妥当だったと思います。
実は、優勝が決まった瞬間は、1本目の評価がそんなに高くなかったこともあって、「う~ん、これでいいのかなあ」と思ったのですが、後で見返してみて、徐々に笑いが倍加していきました。
最後に、島田紳助が「唯一、ターボチャージャーが作動したコンビ」といったように、今回の芸人の中ではピカイチ(←古っ)だったと思います。

さて、今回の決勝(初戦を含めて)を通じて感じたのは、審査員の評価の確かさ
日頃から若手芸人のネタを見ていることも多いと思うので、ともするとそうした既成の評価に流されがちになりそうなものですが、つまらないものはつまらない、面白い(今回のネタが)ものは面白い、ときちんと採点していたように思います。特に、渡辺正行は、かつて爆笑問題が若手だった頃から、若手芸人達の育成に力を入れていることなどもあって、結構シビアな目で点をつけていたように感じました。

一方で感じたのは、全体を通じての「笑い」の量の物足りなさ。チュートリアルは面白かったですが、できれば、同じような出来のコンビがもう数組いて争うぐらいのレベルを期待したかったところです。
正直なところ、結成10年という縛り、またブレイクしたことで出場を見合わせるコンビがいることで、大会自体のレベルは下がり気味だと思うので、いっそのこと、結成15年ぐらいまで幅を広げてもいいのではと思うのですが。
また、選考理由が不透明な準決勝の仕組みを公開制にすることも必要だと思います。

長々と書きましたが、来年は決勝に進出した全コンビが爆笑させてくれるような大会を期待したいですね。
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by momiageculture | 2006-12-31 15:35 | お笑い | Comments(0)

お笑い・音楽レビューを中心に続いています。細々と更新し、20年目。SPECIAL OTHERS、スカパラ、ゴッドタン、クイズ☆タレント名鑑 etc。/スポーツ系記事はこちら→http://agemomi.exblog.jp/


by もみあげ魔神
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