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長すぎるM-1感想。

M-1グランプリ2005。

見終わっての感想を一言でいうと、

公平だったな

です。

M-1も2001年に始まって5回目。「純粋に一番面白いコンビを決める」とうたいつつも、やはり回を重ねることで大会の色(傾向)みたいなのが出てくるもの。
ともすると、「M-1で一番面白い」と「漫才が一番面白い」とが乖離してしまいかねないところですが、結果、「純粋に一番面白かった」コンビ(ブラックマヨネーズ)が一番をとったと思います。
番組の初めに、「今までの実績とか関係なしに、今日一番面白かったコンビを選ぶ」ということと明言していたのも、審査にいい影響を与えたのではと思いました。

実は、今回のM-1はあまり期待していませんでした。過去4回の大会で次々と優勝者が抜けていったことで、「こいつらは面白い」と確実にいえるコンビは正直あまりおらず。顔ぶれをみても、過去の大会に比べて大阪(しかも吉本)の漫才コンビ色が濃く、「ちょっと似たようなテイストのコンビが多いなあ」と思っていました。
しかし、蓋を開けてみると、昨年に比べて全体的なレベルは高かったと思います。

ところで、昨年までは、「決勝に残ったんだから、それなりのネタを見せてくれるんだろうなあ」という思いで見ていたM-1ですが、今年は「出来るだけ楽しんでみよう」と思って見ていました。
確かに、ファジー(←死語)な部分が多い「お笑い」というカテゴリーの中で、白黒をはっきりつけるというのがM-1の一番の醍醐味でもあります。
しかし、やはり本来、お笑いは楽しんでみるもの。実際の審査員は別ですが、「厳しく見よう」と思って見るより、「笑いたいなあ」と思って見ていた方が、素直に見れる(ただし、つまらない時は、「裏切られたあ」という気持ちも強くなってしまいますが)気がしてそんな気持ちで見ていました。

以下、各コンビについての寸評を。

笑い飯
正直、自分はあまり笑い飯は好きではありません。というか、お笑い好きな人の中での評判ほどは面白いと思ったことがない、という方がいいかもしれません。
確かに、M-1で初めてダブルボケを見たときは、「何だこりゃ~」と思いました。また、ネタの内容も、史料館に置いてある人形など、他の人が考えつかないようなものを持ってくるし、見かけや普段の受け答えのトボケ加減とも相まって、「こいつら、ただもんじゃない」感は凄く醸し出していると思います。
ただ、アナーキーさと面白さは、また別。不発なネタも結構あるし、意外と「爆笑させてくれる」確立が低いというのが、自分の印象でした(ちなみに「爆笑オンエアバトル」では4回出場してオンエアは1回)。
で、今回のネタは「靴を隠された友達を慰める方法」。いつものとおりのダブルボケ攻撃でしたが、4分という持ち時間の長さだけあって、見応えはありました。一番笑ったのは「チャイナー」の部分。ただ、トップバッターということもあって、本当に爆笑という感じにはなれませんでした。
笑い飯を見ていてたまに気になるのは、ダブルボケの応酬の中で、ともすると、ボケからボケの展開が早過ぎること。ボケ手が変わるとき(哲夫→西田、西田→哲夫)、前のボケの余韻を味わいきらないうちに次のボケに移っているので、そのボケの魅力が半減されてしまうように感じることがあります。
もちろん、次々とたたみかけることでの笑いの増幅という面はあると思いますが、2人ともセリフとセリフの間の「間(ま)」加減に、少し物足りなさを感じます。このあたりがカチッと決まったとき、笑い飯はさらに笑わせてくれるのではないかと思います。

アジアン
一回しか見たことはない(しかもネタではなくて、ヨシモトファンダンゴTVの上方芸能三国志という番組)のですが、ブサイクをウリにしているコンビという印象を持っていました。
で、今回のネタでも、冒頭でその隅田の顔をいじりましたが、本題は「早口言葉」。
滑舌を求められるネタのなかで、ほとんど噛まなかったのは評価されるところだと思いました。ただ、その「噛まないこと」を優先したためか、馬場園(ボケ)が喋るタイミングがワンテンポ遅れた感じがしました。
ボケの内容もそんなに悪くなかったものの、手をたたいて笑えるようなボケはあまりなく、最後はツッコミのバリエーションも単調になってしまったせいか、スタミナ切れという印象で終わってしまいました。
現在の持ちネタはどのぐらいあるかわかりませんが、前述の「上方-」を見たところ、まだまだ暴れられる要素を持っているコンビだと思うので、今後、さらにネタのバリエーションを増やしていってほしいと思います。

南海キャンディーズ
笑い飯・麒麟とともに、M-1での実績では上位に位置するコンビ(まだ2004年の1回だけではありますが)。
昨年は初見ながら、「もしかしたらアンタッチャブルを食ってしまうんじゃないか」というほどのインパクトがありました。
ただ昨年と違って、〈しずちゃんの傍若無人なボケ→山ちゃんのレディファースト的なツッコミという流れ〉は、みんなが知っているだけに、ネタの濃さが問われるなあと思って見ていました。しかし、結果それほどの笑いは起こせなかったかな~という感想。特に、「パジャマでおじゃま」のパロディは「長過ぎる」と感じました。
山ちゃんが何かの記事で「今年は他の仕事が多くて、あまりネタを作れなかった」と言っていましたが、その知名度up とは裏腹に、ネタの面では、昨年からさらなる加速、そして飛躍することが出来なかったというのが、如実に出てしまったように感じました。
数々のバラエティ番組に出ていることですでにキャラが確立しつつある中、今後どれだけネタに重きを置いていくかはわかりませんが、できれば、またこちらの度肝を抜くようなネタを見せてほしいと思います。

チュートリアル
若手の中では、結構キャリアがあるコンビ(M-1第1回の決勝に出ているし、オンエアバトルにも2000年から出場)。
安定はしているのですが、ネタの設定がちょっとマニアックなので、笑いが不発に終わることもある印象がありました。
しかし今回は、そのマニアックな設定(バーベキューで串に刺す順番)がはまった感がありました。特に「それ、NYスタイルやんか」「近代バーベキューの父、トーマス・マッコイ」は、きました(^^)。
残念ながら決勝には残れませんでした(3位とわずか11点差で5位)が、決勝に行ってもおかしくないネタを見せてくれたと思います。徳井のマニアックな部分への情熱が、そのエキゾチックな顔と相まって、爆発力を見せたネタでした。

ブラックマヨネーズ
チュートリアルとともに、選ばれたことがちょっと意外だったコンビ(キャリアが長い割には、あまりネタの爆発力を感じることが少ないという点で)。
何度か見たネタの中では、大体、小杉の髪の毛が薄いこと(あと吉田のニキビ面)がネタにされていたので、またそのネタで来るんだろうなと思っていたのですが、意外や意外、「初めて彼女をデートに連れていくのはどこがいいか→ボウリングなんかどう?」という流れでスタート。
「おやっ」と思って見ていたところ、ボウリングのボール選びから、広がる広がる(^^)。
「俺の家、○○っていう大阪の坂の上にある所なのに、(ボウリングの球入れ袋が破れたら)なんばまで転がっていくわ」あたりから、完全に流れに乗って、〈すいかと間違われる→原チャリに乗せて注意書きの紙をはっつける〉のくだりは、これでもかこれでもかの〈考えすぎボケ→キレながらフォロー〉のたたみかけ。登場時とは打って変わって、完全に会場のハートを掴んだように感じました。
最初のうちは、ボウリングという設定が新しさ的にはどうかなという思いがあったのですが、途中からその思いはまったく消え、かなり面白かったです。
高得点を叩き出した後、「決勝でも、この面白さを持続できるかなあ」という思いは残りましたが、ネタの中でのグググググッという上げ具合は、見事でした。

品川庄司
ある意味で、今回のメンバーで、一番どういう方向のネタで来るかが読めなかったコンビ。
品川庄司の漫才のイメージといえば、初期の頃からやっている「占い」ネタが代表的。品川がウザかわいくボケて、庄司が段々とキレながら突っ込んでいく。そのテンポの良さは、普段若手お笑いを見ないであろう中高年の人にもウケる裾野の広さを持っているのではと思っていたのですが、意外と(品川庄司を)嫌いな人(品川のウザさ加減・庄司の暑苦しさがダメ?)も多いようで、評価が分かれるコンビという印象があります。
第1回大会から参加しているにもかかわらず、決勝はいまだ未出場(不出場含めて)。キャリアからいっても「もう出場自体もしないのかな」と思っていたところでの、今回の決勝進出。期待(初期の頃の漫才は好きだったので)と少々の不安を持って見ていました。
ネタは「庄司がドラマの中で撃たれて(格好よく)苦しむシーンをやりたい」というフリから始まって、〈品川がなかなか撃たずに、そのシーンをやらせない〉→〈品川が、そのシーンをやってしまう〉→〈庄司がキレる〉という展開。
最初の方で、釈由美子の「おゆきなさい」を持ってきたところは会場の笑いもほとんどなく、「そのネタ、ちょっと古いだろう」とも思いましたが、最後、2人で同じ動きをしたところなどは、いろんな要素を詰め込んでネタを広げたなあ、という印象。
大爆笑とはいかないまでも、その熱演ぶりには2人のM-1への思いを感じました。
結果、4位ということでファイナルには進めませんでしたが、現在の力は出せたのではないかと思います(ただやっぱり、品川庄司はコント(の方)が面白いかなあ)。

タイムマシーン3号
「若手」といっても実はそんなに若くない現在の若手芸人の中では、比較的若く、また安定しているコンビ。
決勝進出唯一の吉本以外のコンビということで、結構期待して見始めました。
ネタは、やはりいつものデブを題材にしたネタ(デブの遊園地)。ただ個人的には、かなり小柄+スッキリしている顔のせいもあって、関(ボケ)へののデブいじりは、やり過ぎるとちょっと無理を感じるところがあります。
今回も、テンポは相変わらずよかったものの「ちょっと食傷気味かなあ」と感じました。ほふく後進(?)など、随所に「わっ、すげえ」と思う部分はあったものの、もう一つ爆発力が感じられないまま終わってしまった感がありました。
ただ来年以降も、挑戦し続けていくと思うので、今後さらにネタの幅を広げて挑んでほしいと思います。

麒麟
7組を見終わって、「あと敗者復活と誰が残っているんだろう」と思っていたところで「あっ、麒麟か」と気づきました(^^)。
麒麟も、昨年までは、笑い飯と同じで、M-1での評価と自分の評価がちょっと違うなあというコンビでした。
まったくの無名ながら初めて出場した第1回大会では、結構評判がよかったですが、自分はあまりの田村のセリフの棒読み具合に、「これは、面白い以前の問題だろう」と思いましたし、その後も「そんなに面白いかなあ」と思っていた時期が続きました。
ただ、ネタの詳細はあまり覚えていないですが、昨年のM-1(敗者復活からファイナルまで進出)は面白かったです。ボケのバリエーションもかなり増えて、テンポが良くなったことも相まって、「ネタ中飽きさせない」という意味では、かなりの力を持ってきたなあと思いました。
で、今年の決勝ですが、野球の実況中継(and 応援)というネタの中で、スゴくいろいろなバリエーションを見せてくれたと思います。あと、これはファイルナルでもそうだったのですが、「川島がキレる」という新しいパターン(のように思ったのですが前からもやっていたかな?)が増えたのも新鮮でした。
結果、ブラックマヨネーズに次ぐ2位でのファイナル進出でしたが、ネタの濃さからいっても、順当な結果だったと思います。

千鳥
注目の敗者復活を見事勝ち抜いて、決勝進出。個人的には、他に勝ち抜いてほしいなあ、と思っているコンビが何組かいたのですが、数十組の中から選ばれたということで期待して見ていました。
ネタは、よくやっている「中世のヨーロッパネタ」の流れを継ぐ「幕末ごっこ」ネタ。
途中、大悟(ボケ)が「わしにはわからん、アホじゃけん」のセリフを強引に格好よく言う設定にしたところまでは笑えましたが、その後は、設定の移り変わりが早過ぎてついていけませんでした。
「もしかしたら敗者復活から優勝者が出るかも」という期待からすると、ちょっと残念でしたが、これもガチンコ勝負の結果ということで。

なお、あまりに長くなり過ぎたので、ファイナルラウンドについては、また明日書こうと思います。
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by momiageculture | 2005-12-26 03:42 | お笑い | Comments(0)

お笑い・音楽レビューを中心に続いています。細々と更新し、20年目。SPECIAL OTHERS、スカパラ、ゴッドタン、クイズ☆タレント名鑑 etc。/スポーツ系記事はこちら→http://agemomi.exblog.jp/


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