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BOOM BOOM SATELLITES の10曲

2016年10月9日、BOOM BOOM SATELLITESの川島道行が亡くなった。
デジタル・ロックの雄とも言うべきバンドだが、そのキャリアは川島の脳腫瘍との戦いでもあった。

昔から聴いていたバンドではあるが、実は昨年初めてそのライブを観に行った(EX THEATER ROPPONGI)。友達に誘われてのライブだったが、「これが最後かもしれない」ということで、わざわざアイルランドから日本に観に来た友達の知り合いの人も一緒になって観た。
病気から復帰したばかりの身でのライブということもあってか、緊張感のある始まりだったが、BOOM BOOM SATELLITESのこれまでのアルバムの中でも一番の傑作といっていい『SHINE LIKE A BILLION SUNS』の曲を軸に、川島氏の歌声が会場に響く。
曲調のせいもあって、初期の荒々しい感じとは違い、一曲一曲かみしめるように歌っていたのが印象的だった。
ただし、迎えたラストの「KICK IT OUT」は、会場の感情が爆発したようなお祭り騒ぎ(^^)。アンコールでは「DIVE FOR YOU」。そして、サポートドラマーの福田洋子氏の叩きっぷりが素晴らしい「BACK ON MY FEET」も。さらに、アンコール2回目では、4人のポールダンサーがアクロバッティック過ぎる動きを披露し、まるでショーのような光景。
最後、川島氏の、あまり動きはないながら嬉しそうな表情が印象的だった。

その後、5度目の脳腫瘍を発症。最後の力を絞り出すような作業で、BOOM BOOM SATELLITESの最後の作品となる「LAY YOUR HANDS ON ME」を完成させ、その活動の幕を閉じた。

なお、病気云々だけで、このバンドを語るのは逆に失礼にあたると思うので、音楽という観点に絞って、個人的な感想を書きたいと思う。
デビューから20年ものキャリアを積んできたBOOM BOOM SATELLITESだが、初期の頃は、光る曲はあるものの、アルバム通してすべて良曲というところまでは言い切れなかった(個人的にアンビバレント過ぎる曲が凄く好きというわけではないこともあるが)。
アルバムとしての完成度をぐっと上がったのは、6thアルバムの『EXPOSED』あたりからではないかと思う。
そして、前述したが、フルアルバムとして最後の作品となった『SHINE LIKE A BILLION SUNS』は、完全なる世界観を作り上げたアルバムとなった。
こうした言い方が正しいかわからないが、自身の生きる時間と向き合っている人の力というのは、こんなにも強いものなのかと思った。

そうした、数多ある日本のバンドのなかでも稀有な存在であったBOOM BOOM SATELLITESについて、これまで、the band apartフジファブリックサカナクションについて書いた時と同じく、個人的に挙げてみたい10曲を選んでみた(順番はリリース順、括弧内は収録アルバム)。


1. 「Scatterin' Monkey」 (1th 『OUT LOUD』)

映画「ピンポン」でも使われたことで知られている曲。リリースから18年経っているのに、今聴いても、ほとんど古さを感じられないのが凄い。1分40秒あたりでのリスタートっぽい曲調の変化、3分10秒あたりからの音の抜き具合など、リズムは全編同じながら、各所各所に仕掛けがちりばめられているビックリ箱のような一曲。


2. 「Ride On」 (4th 『FULL OF ELEVATING PLEASURES』)

初期の、うねりのある攻撃的な感じがよく表れている曲。間奏での「叫ぶ合いの手」とでもいう雄叫びは、ベースラインと相まって、この曲の凄みを倍加させている。


3. 「Dive For You」 (4th 『FULL OF ELEVATING PLEASURES』) 【MV

こちらも攻撃性の高い一曲だが、「Ride On」のうねる感じとは違い、開放的な攻撃性。曲終わりのデジタル・ドラムだけの構成が、BOOM BOOM SATELLITESらしい感じ。夜、高速をドライブするのにピッタリな曲。


4. 「KICK IT OUT」 (5th 『ON』) 【MV

イントロの引き付け度は、他のアーティストの曲と比べても、最上位に位置するといってもいいかもしれない。BOOM BOOM SATELLITESにとってキラー・チューンとでも言うべき曲。メロディは意外とシンプルながら、各楽器の音が直に伝わる感じが、曲のインパクトを高めている。そして、効果的過ぎる、女性コーラスの使い方。


5. 「SHUT UP AND EXPLODE」 (6th 『EXPOSED』)

曲の速さはミドルテンポながらも、疾走感が重視されている曲。デジタル・ロックの特性もあり、フレーズ繰り返しを使うことの多いBOOM BOOM SATELLITESだが、そのなかでも、これでもかというほど(^^)、サビフレーズ連呼の一曲。こちらも高速ドライブ向き。


6. 「BACK ON MY FEET」 (7th 『TO THE LOVELESS』) 【MV

オリジナルアルバムからの出典ということで挙げたが、出色なのは、ライブバージョン(ライブアルバム『EXPERIENCED II』に収録)。メンバーではないが、前述したとおり、サポートドラマーの福田洋子氏の叩きっぷりが素晴らしい。


7. 「NINE」 (8th 『EMBRACE』) 【MV

BOOM BOOM SATELLITESが新しいステージに行ったことを感じさせる曲。穏やかな歌声と、曲から感じとれる解放感は、聴く者に、いろいろな世界を想像させてくれる。疲れたときや悩んだときに聴くのには打ってつけの曲。これだけ優しいデジタル・ロックの曲が作れることに感慨を覚える。


8. 「SHINE」 (9th 『SHINE LIKE A BILLION SUNS』)

最初の歌声が始まった瞬間に、引き込まれる一曲。この完成度の高い世界の曲をもっともっと聴かせてほしかったという思いもあるが…。ピアノのメロディーと歌声のシンクロ度も高い。「NINE」で作った世界をさらに深いところに広げていった印象もある。


9. 「A HUNDRED SUNS」 (9th 『SHINE LIKE A BILLION SUNS』) 【MV

イントロのメロディーから、声高ではないものの、向かうべき指標を指示しているかのような曲。個人的には「決意」というイメージを抱いた。デジタル・ロックという枠から完全に抜け出たとも言える一曲。


10. 「LAY YOUR HANDS ON ME」MV

BOOM BOOM SATELLITES、最後のリリースとなった曲ではあるが、「希望」を感じさせる一曲に感じた。デビュー時の曲調を考えると、こうした曲を作るとは本人たちも思っていなかったもしれない。音楽の「重み」を感じる曲でもある。


以上、10曲を挙げたが、もちろんその他にも挙げたい曲は何曲もある(その他では、「LOADED」「PILL」「Fogbound-Flit Through-」「ANOTHER PERFECT DAY」「FLUTTER」など)。


デジタル・ロックというジャンルにカテゴライズされるバンドではあるが、その各所各所に人間の感情を見せてくれたバンド、BOOM BOOM SATELLITES。

その残した音楽は消えない。


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by momiageculture | 2016-12-30 03:32 | 音楽 | Comments(0)

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