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今回のM-1は爪痕を残せた、和牛について。

前回、レビューを書いた、2016年のM-1グランプリ

その後、まだ書きたいことがいくつもあったのだが、今回は、惜しくも準優勝に終わった和牛について。

今大会の和牛は、敗者復活・決勝ファーストラウンド・最終決戦と、3ネタすべてウケた。そして面白かった。

大会後、同業者である他の芸人のコメントを聞いていると、評価の高かったのが、川西ツッコミ
3ネタとも、コント漫才という形のネタ。そして、川西の役割はすべて女性だったが、一風変わった男子である水田に呆れつつも、なんとかその関係を楽しいものしていこうという、そのけなげさ(?)は、オードリーの若林に「川西さんがネタでやっていた彼女と付き合いたい」とまで言わしめるものだった(^^)。

ちょっと変わったキャラ(水田)との“距離感”の絶妙さが、ツッコミ役としての川西の素晴らしさであるが、同時に、水田が話しているときに「表情の変化でツッコんでいく」という、演技ツッコミのクオリティも相当に高い。
その演技ツッコミ力は、今回のような「彼氏彼女設定」以外のネタ、例えば「がんばっていきましょう」のようなネタなどでも発揮される。

もちろん水田の「かなりの屁理屈キャラなんだけど、なぜか憎めない……とまではいかない(^^)」キャラも面白いのだが、そのやりとりの面白さを倍加させているのは、間違いなく川西のツッコミ。
他の芸人が「ツッコミが素晴らしい」とその実力を激賞するのもわかる。

なお、自分は関東にいるので、全国放送のネタ番組以外でその姿を見ることはあまり無いが(たまたま、家事えもんを生んだ「あのニュースで得する人損する人」に、盛り付け得意芸人として水田が出ているのを見たことはあるが)、5・6年前ぐらいの和牛は、決して才能を感じさせるコンビではなかった(このブログで書いた、6年前のM-1の敗者復活戦のレビューでは、59組のなかで5組しかつけなかった「×」をつけているので、当時は、相当つまらないと感じたのだろう)。
そこから、どうやって、ここまで面白い漫才を作り上げるに至ったのか、その過程には、かなり興味がある(前回も書いたが、少し変わったコント部分への導入など、ネタの構成的にも、だれる時間を作らず隙の無い、素晴らしい構成のネタだった)。

また、彼女彼氏ネタに限ったことになるかもしれないが、多くの漫才が「いかにディスコミュニケーションを生み出すか」というなかで作られているなか、「ディスコミュニケーションになりがちな状況のもとで、なんとかコミュニケーションをとろう」とするという意味で、”コミュニケーション分断の時代に抗う漫才“と言ったら、言い過ぎか(反駁的要素の大きい漫才のなかに、「プラス」のコミュニケーション的要素を盛り込んだのは、おぎやはぎあたりからかもしれない)。

昨年のM-1では、決勝に出演こそしたものの、爪痕を残せたとは言い難かった、和牛。
しかし、今回のM-1では、完全に足跡を残し、一気に知名度も広がったと思う。
さきの水田の「美メシヒーロー」的なテレビ出演も増えるかもしれない。
ただ、その“漫才”の技術は、本当に高い。
川西が「ワイドナショー」で出たい番組として挙げていた「バカ殿」には出演させてあげたいところだが、基本は、末永く、今の「派手さはないかもしれないが、和牛の二人でしかできない」漫才を続けていってほしい。


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by momiageculture | 2016-12-20 01:34 | お笑い | Comments(0)

お笑い・音楽レビューを中心に続いています。細々と更新し、20年目。SPECIAL OTHERS、スカパラ、ゴッドタン、クイズ☆タレント名鑑 etc。/スポーツ系記事はこちら→http://agemomi.exblog.jp/


by もみあげ魔神
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