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「キングオブコント2015」 感想・レビュー

ファイナルレビューを書いた後に、改めて『笑けずり』のまとめを書こうと思っていたのですが、記憶が薄れないうちに『キングオブコント』のレビューを先に(^^)。

前回までとは大きく審査方法が変わった『キングオブコント 2015』。
その審査方法がどういう結果を生むのか、若干の不安も感じつつ、見始めた今回。

今回は、ネタ順に、感想と、見た直後に思った個人的点数を(審査員の点数は、5人の平均点)。

【1本目】

1. 藤崎マーケット

ラララライ以降も、漫才は何度か見る機会があったが、コントはあまり見たことがなく、ほぼまっさらな状態で見た。
最初は、全体像がつかめないなか、始まったコントだったが、途中で「パントマイムをやっている若者と、それを探しに来た親」という設定だということがわかる。
大きな笑いを生み出すというより、そのシチュエーションと、ちょっとしたやりとりで、笑いを誘うというコント。
DEENの「ひとりじゃない」という選曲が正解だったのかどうなのかはわからなかった(^^)が、ラララライとは全く違うことをやっているということを示せただけでも、よかったのかもしれない。(藤崎マーケットの)漫才よりは、こっちの世界観の方が好きかも。
ただ、会場の温まり方も含め、「トップバッターというのは、やはりハンデがある」ということも感じた。
★個人的点数…81点(審査員…90.2点)

(追記:あとで気づいたのだが(^^)、「ひとりじゃない」という曲タイトルを、このコントの内容にかけていたのだとしたら、結構深いかも)


2. ジャングルポケット

このメンバーでは、ロッチに次いで知名度が高いといってもいい芸人たち。ともすると「知名度枠」ともとられてしまいがちな今回の出場だが、もともとのスキルは高いトリオ。2010年のM-1の敗者復活を見たときは、決勝に上がってもおかしくないと思ったし、『パワープリン』では、斉藤だけでなく、太田・武山の2人にも、コント芸人としての上手さを感じた。
ただ、このネタは、斉藤の熱さと太田の熱さが、悪い意味でぶつかってしまった感じ。3人が親友という設定だったが、できれば、3人のうち1人の立場を少し違えた方が、ジャングルポケットとしての良さが生きるのではと感じた。
★個人的点数…78点(審査員…89点)


3. さらば青春の光

毎回、大会前の評判が高いことの多い、さらば青春の光。ネタの種類も多様なので、今回はどんなネタで来るのか楽しみにしていたところもあったが、ちょっと肩透かしをくらった感は否めなかった。おそらく「一筆も絵を描いていないのに」何年間も苦しんでいるというというのが、このネタの肝なのだろうが、あれだけセットがきちんとしていると、「一体、何を描いてるんだろう」という期待の方が強くなってしまい、「描いてない」ことが、悪い意味での裏切りに感じてしまった。森田の演技の鬼気迫る感じは十分伝わってきたが、軸のところで笑えなかったので、ネタの面白さにはつながらず。ライブ会場で見るとまた違うのかもしれないが、今回は残念ながら、伝わらなかった。
★個人的点数…79点(審査員…82.4点)


4. コロコロチキチキペッパーズ

当然、ナダルのキャラ推しのネタだろうとは思っていたが、コントはほぼ見たことがなかったので、どんなネタをやるかは想像がつかなかった。紹介VTRでは、当然、ナダルの声はサイレント状態。
で、ネタは「友達がいない少年と妖精」。いや~、見事にはまった。妖精ネタというのは、以前からあるパターンではあるが、過去の妖精ネタのなかでも、その妖精使いこなし度は、かなり上位に来るだろう。ナダルの「声」だけでなく、「表情」も一発で笑いをとれるところが素晴らしい(特に、真顔になる瞬間)。全部で4ターンのネタだが、その4ターンすべてで大きな笑いをとれる構成も見事。ここまでで、文句無しの1位。
★個人的点数…90点(審査員…93.6点)


5. うしろシティ

久々の、キングオブコント決勝登場。最近は、あまり積極的にお笑い番組をチェックしているわけではないので、『バチバチエレキテる』以降、どんな番組に出ているか知らないのだが(『オサレもん』では結構スベッてる(^^))、密かに期待はしていた。
入りは、悪魔がゲートボールのゲートを魔法陣と間違えてしまい(?)、現れるという設定。悪くはなかったのだが、阿諏訪の表情が最後まで見られないネタだったのは、もったいなかった。阿諏訪の、おどおどしているともとれるし、ちょっと人とズレてるような雰囲気も醸し出す表情が、うしろシティのコントのちょっとしたアクセントだという気もするので。
やりとりでのフレーズも、一ひねりはしてあるんだけど、特に後半、もう少しインパクトのあるフレーズややりとりが欲しかった。
★個人的点数…76点(審査員…84.8点)


6. バンビーノ


2本ネタをやった場合、片方はマッサージネタかなと思っていた。
で、最初のシルエットで、マッサージネタではないと分かって「じゃあ、なんだろう」と思ったが、何度か見たことのある魔法使いの呪文ネタだった。
何度か見ているので、客観的に評価するのは難しいのだが、改めてフラットな視点で見てみても「よく出来ているネタ」だと思う。正直、初めて見たときは、その面白さがパッとはわからなかったが、「世界征服」というテーマにもかかわらず、誰も傷つけないやりとり(^^)。設定が普通のコントと違うため、どこでボケが入るのか、わからないスリリングさ。結構序盤で「シロちゃん、かわいい~」と言ってしまう、魔法使いのキャラのブレ加減。吠え声だけでは終わらせない展開の変化…などなど。かなり、考えられたネタだと思う。初見で「面白さがわからない」という意見もわからなくはないが、それで見るのをやめてしまうには、あまりにもったいないネタだと思う。
審査員にもウケはよく、コロチキに次ぐ2番目の点数(この時点で)だったが、個人的には、もう少し得点が伸びてもいいかなと思った。
★個人的採点…88点(審査員…91点)


7. ザ・ギース

7年ぶりの決勝出場ということで、本当に悲願であったろう、今回の出場。
「THE GEESEにしかできないコント」があるという点で、ザ・ギースは好きだ。もう6年前になるが、単独を見に行ったこともあるが、ほぼ全てのネタが面白かった。
ただ、ネタの入りで期待を抱かせるだけに、途中から尻すぼみに感じてしまうことが結構あるのも事実。それを打開するネタを見たいところだったが、たまに番組で見るネタでは、あまりその部分は改善されていないように感じた。もし、それを打開するならば、尾関の「ちょっと江頭にも通ずるような、可笑しな動きかな」とも思っていた。
そんなか、久々に見た、ザ・ギースのネタ。入りの2分は「一体何やってるんだろう」というコント。暗転の瞬間には、「こりゃ、0点でもおかしくないな」とすら思った。
そこからの「ビフォー・アフター」。完全に、自らの「シュールネタの呪縛」を逆手にとったネタ。
自分は、「よくこれをやったなあ…」と感動すら覚えた。もちろん「THE GEESE=シュールネタ」という予備知識がないと伝わらない可能性もあると思ったが、それでも、初見の人にも今回のネタ始まりの2分で、「もともとは、シュールネタの人たちなんだ」ということは伝わった可能性が高く、THE GEESEを知らない人でも十分笑えるのではないかと思った。
だが、現実は甘くなかった。ほぼ、2本目進出の見込みの無い得点に終わる。
「面白さ」が足りないという指摘はもっとも。点数も妥当だったのかもしれない。THE GEESEのネタを知っているであろうバナナマンの点数もそれほど高くなかったことを考えると、まだまだ改善の余地はあるのだろう。
今大会の前に、得点を出せるかどうかのポイントとして感じていた「巧さを、面白さが超えるか」というところも、クリアしたとは言い難いネタだったかもしれない。
ただ、今回の挑戦は、決してザ・ギースにとって無駄だとは思わないし、こうしたことが出来るのならば、キングオブコントの結果如何とは関係なく、ブレイクできる道もあるように思った。
★個人的評価…91点(審査員…85.6点)


8. ロッチ

試着室ネタ(^^)。もう、これは「ズルい」としか言いようのないネタ。中岡は、「ハイ、ハ~イ」しか言ってない。ポーズも、ずっと変わらない。ずっと、パンツと履きかけのズボンを見せてるだけ。
それでも、笑える。笑いがとれる。ネタ帳を見ても、セリフは、ごくわずかだろう。言ってみたら、緻密な計算の無いドリフみたいなもの?。いや、ありきたりな表現になってしまうが、「ロッチにしか出せない世界観」。「○○にしか…」という表現は、結構使われるフレーズだが、それと、テレビにおける一般性とを両立させてるコンビは、意外といない。それだけ、どの芸人にでもできることではない、ということなのだろう。
★個人的評価…90点(審査員…95.6点)


9. アキナ

コロコロチキチキペッパーズ、バンビーノ、ロッチと山が3回来たので、見ている側も、ちょっと疲れもでてきた9組目。
ドカッと笑いをとるタイプのネタではないので、ちょっとネタ順的には不利だったか。
ネタは、いつものアキナテイスト。これは、器用さの裏返しとも言えるのだが、漫才の時のテイストとあまり変わらないというのは、コントとしてのインパクトという意味では、マイナスかも。
山名のぶっちゃけるタイミングの精度が非常に求められるネタだが、もう少し先(あるいは後)だったら、面白さはまた変わっていたか。
★個人的評価…75点(審査員…87.4点)


10. 巨匠


いよいよ、1本目ラスト(結構、ここまで長かった)。昨年は、初戦でシソンヌに僅差で敗れた巨匠だったが、今年も、シチュエーションは違うものの、クズキャラネタ。
「もう少し動きが欲しかったけど、出られないもんねえ(^^)」という審査員のコメントがすべてを表していたが、やはり、第二、第三の展開が欲しかった。
たぶん、昨年も今年も、設定の目のつけどころが面白いがゆえに決勝に選ばれていると思うのだが、次回は、もう少し「おっ」と思わせるような展開を。
キャラ設定上、仕方が無いのかもしれないが、ツッコミの存在感がほぼ皆無なので、このあたりも一考の余地があるかも。
★個人的評価…80点(85.6点)

ということで、ロッチ、コロコロチキチキペッパーズ、バンビーノ、藤崎マーケット、ジャングルポケットの5組が2本目に進出。


【2本目】

1. ジャングルポケット

1本目とは違い、斉藤が上司、太田・おたけが部下と、それぞれの立場に差がある設定。自分がジャングルポケットのハマりパターンだと思う設定はこの形。特に、斉藤が他の2人と違う立場という形の方が、この3人は面白いと思う。
ネタ自体は何度か見たことがあるネタだが、それぞれのキャラに、斉藤のクドさ、太田の若さ(熱さ)がいい具合にマッチした、いいネタだと思う。内容もわかりやすいため、いい意味で、ハードル低く見られるネタでもある。
それでも、ジャングルポケットをあまり好きでない人には、受け入れにくいのかもしれないが、もし、彼ら人力舎所属だったら、「芝居上手なトリオ」と見られるのではないか。
★個人的評価…90点(審査員…90.2点)


2. 藤崎マーケット

1本目と若干設定が似てなくもないネタで、お化け屋敷でお化けをやってる親父に会いに行くも、人違いという設定。
いい意味でどぎつさが無いネタだが、そのぶん、インパクトも、あまり多くは無いネタ。人によっては、ほっこりできるかもしれないが、笑えるネタかどうかということで考えると、やや物足りないか。
「爪痕を残した」とまでは言えなかった今大会。ネタ終盤での強さが、もう一つ、二つ、欲しい。
★個人的評価…81点(審査員…88.4点)


3. バンビーノ

1本目の魔法使いネタに続き、2本目は、マッサージネタ。
『オサレもん』で一度見たことがあるネタだったので、これも、なかなか客観的な評価は難しいところ。
ただ、初めて見たときは、ネタ始まりこそ戸惑いを感じたものの、その発想力と展開力は凄いと思った。それこそ、バンビーノしか考えつかないし、バンビーノしかできないネタ。
個人的評価はかなり高めにつけたが、初めて見たと仮定しての点数(そういう意味では、初見か二度目かでかなり印象の違うネタなので、審査員は、若手のネタに詳しくない人がいいのかもしれない)。
Coming「スーン!」のところは、もっとウケてほしかっただけどなあ(本人たちも、そう思ったのでは)。
ちなみに、「お寿司」の「お」が出てこなかった場面は、最初、元ネタをアレンジしたのかと思った(^^)。
★個人的評価…95点(審査員…94.2点)


4. コロコロチキチキペッパーズ

1本目の爆発がラッキーだったのか、それとも、2本目でも、そのポテンシャルを証明することができるのか。
ネタは、卓球部の先輩と後輩。
見かけ的にも、実年齢的にも、ナダルが先輩という設定なのは当然といえば当然なのだが、西野の醸し出す“後輩”感もなかなかのもの。1本目でちょっと感じていた“濱田岳”感を確信。
で、ネタ全編通して流れたのがSURFACEの『さぁ』(^^)。
準決勝を見ていた人や、このネタを見たことがある人はともかく、それ以外の人で、2015年のゴールデンタイム(厳密に言えばプライムタイム)で、まさかSURFACEを聞くと思っていた人はいなかったろう(天竺鼠の寿司踊りに次ぐ、びっくり選曲)。
でもって、サビを何回か使うだけかと思っていたところ、ほぼフルコーラス使う、という、ある種の荒業。そういう使い方をした場合、途中でだれる危険性も大いにあるのだが、動きのおかしさと、ナダルのキャラで、見事に乗り切った。この時点ではまだ最終結果はわからなかったが、「隙の無いネタを2本そろえる」という優勝の条件を、見事クリア。
2本目に爆発したバンビーノとの勝負になると思ったが、そのバンビーノを合計得点で7点上回る。
★個人的評価…87点(審査員…93点)


5. ロッチ

2本目は、試合当日、会場に行きたくないので、仮病を使うボクサーのネタ。今度は、コカドがメインのネタ。中岡の、お母さんキャラは、それはそれでまた笑えるが、やはり1本目に比べると弱かったか。後半の盛り上がりはあまり無いネタということもあって、審査員の評価も厳しめに。この2本目の点数は巨匠の1本目とほぼ同じ点数。ともすると、後続の芸人にインフレぎみに点数を与えがちだったこれまでの審査方式と比べて、そうしたことになるたけ左右されない点数のつけ方が見てとれた。
★個人的評価…82点(審査員…85.8点)


ということで、優勝は、コロコロチキチキペッパーズ!
正直、最初、メンバーを見たときは、全く考えていなかった結果だったが、順当な結果だと思う。
今後、関東でも露出が増えてくるかもしれないが、これまで優勝したコンビに比べて、おそらく、露出量に比して、ネタのストックがまだまだ足りないコンビ。ナダルの「やっべぇぞ」も含め、消費され過ぎないように、周りが気を配ってほしい。「ナダルの顔から笑顔が消えた」という事態にはくれぐれもならないようにするためにも、よしもとの責任は結構重い。
総合2位のバンビーノは、十分、優勝のチャンスはあったが、1本目の点数が、もう少し伸びていればなあ。


なお、今回、大きく変更された審査方式について。
1発目の藤崎マーケットで、思ったより高い点数が出たときは、どうなることかと思ったが、総じて、そんなに変な点数のつけ方も無い審査だったと思う(ザ・ギースに関しては、単に自分の思い入れが強かっただけなので、実際の審査結果には全然納得)。
浜田に振られたときのコメントについては、設楽と松本以外は物足りなさを感じたが、初回ということで、これは仕方ないところか。

昨年までの、準決勝で敗退した芸人100人の審査の復活を希望する声もあるかもしれないが、ここ数年は、ほとんどの芸人の返しコメントがつまならないこと、また集団心理のせいか、どうしても得点がインフレ現象を起こしてしまう、ということを考えると、個人的には、今回の方式の方がストレス無く見られる。
改善点があるとするならば、一コンビにつき一人の審査員でいいかもしれないが、そうなると、なかなか人選には困りそう(^^)。
(こうした大会で審査員を務めることは、笑いへの愛が無い意見だったり、わざと焚き付けるようなネットニュースの存在だったりと、松本人志が言うように、本当に「リスクだらけ」なのも現実なので)

いずれにせよ、「ゴールデンタイムで、芸人たちが、思い思い好きなことをできている」素晴らしさを感じた昨年に続き、お笑いの熱心なファン以外の人にも、コントの面白さがいくらか伝わったのでは、と思えた今回。
(バンビーノあたりは、「面白いコントを作ろう」というよりも、「自分たちが面白いと感じるものの表現方法が、たまたまコント」という感じもするが)

来年も、少なからず、方式や審査の変更がありそうな気もするが、さらなる新星の出現、そして、中堅芸人の爆発が見たいところ。


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by momiageculture | 2015-10-14 01:10 | お笑い | Comments(0)

お笑い・音楽レビューを中心に続いています。細々と更新し、20年目。SPECIAL OTHERS、スカパラ、ゴッドタン、クイズ☆タレント名鑑 etc。/スポーツ系記事はこちら→http://agemomi.exblog.jp/


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