キングオブコント2012
2012年 09月 23日
大舞台でネタをやる経験はほぼ初めてであろう組も多く、どのような展開になるか本当にわからなかった今大会ですが、爆発組、不発組含めて、かなりリアルな大会になったと思います。
個人的には、半分以上の組が、自分たちの芸人としての良さを出せたのではないかと。
ただ、コント日本一と称する大会であるので、今回決勝に出てきた芸人たちをほとんど知らなかった人たちが見てどう思ったかが重要なところ。そうした人が、「コント、面白いじゃん」と思ったかどうかが、今回の大会の本当の成功のポイントではないかと思います。
以下に、個々の組に対しての簡単なレビューを。
(トップリード)
メンバーのなかでは実績を持ったコンビだっただけに、もしかすると優勝もと思っていたが、びっくりするぐらいに不発。複数のシチュエーションを重ねる系のコントだったが、悪い意味で、見ている側がついていけなかった印象。本来なら、トップリードの良さであるファンタジーっぽさも、展開が早すぎるがゆえに、全然心が入っていかなかった。ネタのチョイスが悪かったのか、それとも方法論で変えなければいけないところがあるのか。いずれにせよ、ちょっとここからの立ち直りは簡単ではなさそう。
(銀シャリ)
2ネタとも得点が低かったこともあり、いじられキャラの役回りとなったが、どちらもそんなに悪いネタではなかったと思う。漫才では、ちょっと説明的に感じてしまう橋本のたとえツッコミも、コントだとすっと入ってきた。点数が低かったのは、芸人目線だと、「漫才をコントに置き換えてやってるだけ」と見えてしまうところがあったからだろうか。
(夜ふかしの会)
やはり、コントというより演劇に見えてしまったというのが正直な感想。コントの裏切りに比べると、想定内の展開に収まっていると感じ、突き抜けた感は無かった。なお、決勝進出決定時の「(フリーでも決勝に出られるという意味で)本当に夢と希望の詰まった大会なんだ」というコメントは印象的だった。
(うしろシティ)
良さがほぼ100%出たのでは。1本目は、誰が見ても笑える、それでいて「うしろシティらしい」と形容できるネタで、もう少し高い得点も予想していた。2本目は、後半ちょっとペースダウンした感じがあったが、どちらも「うしろシティ」としての爪痕は残せたと思う。結構、色があるコンビ(泣き虫系?ちょっと可愛らしさも)なので、今後、テレビ的にも露出が増えるかもしれないが、さらなるスケールアップも期待したいので、ネタのキャラのバリエーションは増やしていってほしい。
本題からそれるが、うしろシティの二人を見ていて、どちらも「誰かに似ているんだよなあ」とずっと思っているのだが、現状の結論は、金子が「デビューした頃の尾美としのり」、阿諏訪が「宮沢和史を女性にした感じ」。
(しずる)
1本目は、ちょっと他とは次元の違うネタを見せた印象。若干引くほどの(^^)本気度とネタの洗練度を見せたが、2本目(「ビックリ先生」)は、びっくりのルールが曖昧なこともあり、ちょっと尻つぼみの結果に。2本目も1本目と同じテイストのネタを持ってきたらどうだったか。
ただ、今までキングオブコントでやったネタだけをとってみても、ネタのバリエーションが豊富なことは確か。その器用さが優勝を逃している要因と言えなくもないが、次回どんなものを持ってくるか興味のあるコンビではある。
(かもめんたる)
今回一番、いい意味で予想を裏切られたコンビ。1本目の「コンタクト屋」、2本目の「作文」とも、見た目とはやや異なるエグさとブラックさが適度なバランスで醸し出されていた。
小島よしおも所属していた元WAGE所属ということだが、WAGE自体は当時、そこまでの印象はなかった。その後、小島義雄を「お笑いホープ大賞」で見て衝撃を受けてから5年。2人も今大会で少し爪痕を残したのでは。若干、浅井企画の匂いもする二人(実際の所属はサンミュージック)だが、果たして今後、ネタ番組以外のバラエティで起用される機会はあるか。
(さらば青春の光)
1本目はトップバッターという不利な状況ながら、4番手につけ、2本目の「痛飛ん」ネタが940点オーバー。2本目の芸人審査得点が思ったよりかなり高かったが、2本とも、自分たちの色をしっかり出せたネタだったのでは。余談だが、森田の顔を見るたび、いつもフットボールアワーの後藤を思い出し、東口は髪型とその冷静な感じが、少しやるせなすの中村を彷彿させる。「THE MANZAI」の認定漫才師50組にも残っている2人。ちょっと元気な印象のある松竹芸能。
(バイきんぐ)
どなりツッコミ炸裂で、2位に134点の差を付けて圧勝。
若々しさが完全に無い30代中盤感丸出し(^^)、しかも叩き上げ感たっぷりのこの2人が手にした栄冠は、昨年の「THE MANZAI」でのHi-Hiに続き、「お笑いドリーム」を体現した感があった。
小峠の発する、1本目のネタでの「フォー!」や、この前のTBSの特番の時に使っていた「ファンキー」というフレーズには、その風貌と相まって、とんでもない爆発力がある。
1本目の「自動車教習所」ネタは、序盤からガッツリ見ている側の心を掴んでいたところで、ネタ終盤の「フォー」でとどめ。2本目は正直、ネタ中盤まで1本目ほどの鮮烈な印象はなかったが「なんて日だ!」の一言で、再び着火。
最後、時間が足りなかったためにコメント時間がなく、小峠の涙しか見られなかったのは残念だったが、この優勝に勇気をもらった芸人も多かったのでは。
インディーズ色が強い(そこが良さでもあるが)芸人だけに、これが今後のテレビの露出に直結するかはまだわからないが、制作者側の協力も含めて、バイきんぐのさらなる良さが見られる番組が作られることを期待。
メンバー的にかなり冒険感の強かった今回の大会でしたが、ネタの面白さとしては間違いが少なかったと思えた今回のメンバー選出。ただ1本目不発に終わったコンビが、2本目もあまり得点を挙げられなかったことを考えると、次回以降、システムの変更は必要かも(例えば、2本目は上位4~5組で争うなど)。
なお、この日の深夜には「THE MANZAI」認定漫才師50組決定の特番も放送。それについては、また次回書きたいと思います。