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底上げの必要性

2001年に、中川家の優勝で始まったM-1も今回でラスト
正直、ここ数年で結成10年を超えてしまった芸人も多く、その割には若手が出てきていないという状況下、「もうこれ以上やっていくのは厳しいかなあ」と思っていたところでの終了宣言だったので、驚きはありませんでした。
決勝の顔ぶれを見ても、実績のある笑い飯・ナイツはある程度計算できるとはいえ、昨年に比べてそんなに上積みがあるように思えないハライチ・銀シャリ、また漫才のステージではあまり長所が出ていない感もあるジャルジャル・ピースといったところが名を連ねていたこともあって、今大会はあまり期待感は大きくありませんでした。

で、迎えた本番。
今年は敗者復活から一気に。

《 敗者復活戦 》

今年は準決勝進出者が24組と、例年よりだいぶ少なかったので、「そんなに時間かからず見られるなあ」と思っていたのですが、なんと準々決勝進出者も対象ということで67組見なきゃいけないことに(^^)
しかも、今年もまた一部出演者が、CSでも地上波でも見れないという事態に(朝日放送との契約の問題かもしれないが、スカイ-Aは本当に何を考えてるのか)。

ひとまず、昨年と同じく、各組の評価を下記に(順番は、各分類のなかでのネタ順)。

◎ … 決勝行ってもいいのでは?
○ … 面白いが、決勝に行くほどでは
△ … 面白いところもあるけど、全体的にはイマイチ
× … ちょっとキツイ

(◎)
なし

(◎と○の間)
デスペラードハイキングウォーキングスーパーマラドーナジャングルポケット

(○)
土佐駒、ダブルネーム、エレファントジョン、エリートヤンキー、ブロードキャスト、ギャロップ、アームストロング、ブレーメン、かまいたち、風藤松原、とろサーモン、チーモンチョーチュウ、千鳥、磁石、東京ダイナマイト、タイムマシーン3号※、パンクブーブー※

(△)
ラフ次元、天使と悪魔、スマイル、メトロクラフト、デニス、シャイニングスターズ、ミルクボーイ、マキシマムパーパーサム、トンファー、マテンロウ、セルライトスパ、ソラシド、井下好井、LLR、えんにち、トレンディエンジェル、三日月マンハッタン、ボーイフレンド、天狗、ロシアンモンキー、プラスマイナス、天竺鼠、バース、ギンナナ、平成ノブシコブシ、笑撃戦隊、マヂカルラブリー、プリマ旦那、POISON GIRL BAND、ウーマンラッシュアワー、我が家、アーリアン、モンスターエンジン

(×)
グリーンランド、三四郎、あどばるーん、どぶろっく、初恋クロマニヨン、ななまがり、和牛、ミサイルマン、ボルトボルズ、ダブルアート、お湯

(判定不能(ネタが見られなかったため))
ゆったり感、囲碁将棋

※タイムマシーン3号はネタの最初が、パンクブーブーはネタの後半が放送では見られず。


とりあえず、まず最初に言えることは「かわいそうだよ、ゆったり感」。
昨年に引き続き、今年もネタが完全にオフエア。特に今年はネタがまったく放映されなかった唯一のコンビ。昨年の敗者復活のネタがかなり面白かっただけに、非常に残念でした。

全体的には、やはり年々、面白さが落ちてきている感は否めず。同じ基準で付けた一昨年8組に◎を付けましたが、昨年1組で、今年は0組
放送ではネタの前半しか放映されなかったパンクブーブーが、後半ぐわっと盛り上げたようであれば、決勝進出なのかもしれないかなと思いました。
他に可能性があるとすれば、ジャングルポケットハイキングウォーキングあたりといった印象。
ジャングルポケットは、斉藤の濃いキャラ、そしてその濃さゆえに面白さが倍加するノリツッコミ、さらに太田・武山との掛け合いのテンポの良さはかなり安心して見られる域まで達しているので、できればより多くの人に見てもらいたかったですね。
ハイキングウォーキングも、Q太郎のキャラがクローズアップされがちですが、実は漫才もコントも確実に笑いがとれる域に。ボケに関しては、いい意味でわかりやすいものが多く、その部分も含めて、ネタでもっと評価されていいコンビだと思います。
なお、「◎と○の間」で挙げたデスペラードは、日本人とイラン人のコンビで(今回の敗者復活は外人がいるコンビが3組もいた)、日本のお笑いコンビや歌手を中東風にもじるというネタでしたが、それぞれのボケはバカバカしくも結構笑える率が高かったです。

他にも、東京ダイナマイトチーモンチョーチュウタイムマシーン3号など、期待値が高い組はいたのですが、「◎」には一歩届かずという印象でした。


《 決勝 》

ここからは決勝(評価は得点にて)。

1.カナリア

2年前の敗者復活では「決勝に行っても」というネタを見せてくれたコンビ。そのときと同じ「こんな漫才は嫌だから、自分の思うとおりやりたい!」と同じ設定でボケを変えるネタをやってくれたらと思ったのですが、今回は「ドレミの歌の替え歌」ネタ。
正直、見ているのが辛かったですね。そんなに悪いネタではないのかもしれませんが、ちょっとお客さんには伝わりにくかったネタではなかったかと。トップバッターでまだ笑いにくい状況とも相まって、「今回のM-1、大丈夫かな」という不安がよぎりました。
78点/実際…592点(9位)

2.ジャルジャル

これまでの漫才を見ていると、その特異性があまり生かされていない印象。発想の奇抜さは誰もが認めるだけに、それをどううまく漫才に入れ込めるかに注目して見ていました。
ネタは「コンビニの店員と客」だったのですが、コントも含めてこれまでのネタのなかでは、今までにないほどの低調なスタート。
ちょっと心配して見ていたところ、「(ボケ)知ってるからな?」発言をきっかけに展開が変わり、ここからが本題。「なるほど、こういうネタね」と納得しましたが、それを差し引いても、ちょっと導入部分のクオリティは低かったのでは。後半の擬音攻撃ではジャルジャルらしさを見せてくれましたが、「やはり漫才との相性はあまりよくないのかな」と感じてしまいました。
85点/実際…606点(8位)

3.スリムクラブ

昨年の敗者復活では、ボケの「牛の首を絞めたような声」と、ツッコミの顔が「犯人顔だが表情は善人」というのが印象に残ったものの、ネタ自体はまだ素人っぽさの方が目立ってしまい、あまり面白さを感じられませんでした。
今回の決勝進出も、「ちょっと変なやつを入れようか」という準決勝審査員の狙いかなと感じられ、あまり期待はしていなかったのですが…。
実際にネタが始まると、予想外に会場を引き込む展開に。インディーズ感が漂うその不思議なテンポが、決勝の華やかなセットで演じることによって、面白さが5割増しぐらいになった気がしました。
高速化の方向に行っている今のネタの流れのなかで、あれほどのスローリーなテンポは、かなり異質。そして、それが笑いに直結していました。審査員の評価も高く、まず1つ目の波を起こす結果に。
84点/実際…644点(3位)

4.銀シャリ

ネタは「abcの歌」。正直、あまり印象に残りませんでした。これまでも、何度か銀シャリのネタを見たことがありますが、まだなにか借り物の感じがします。古典的な漫才をやっているからという理由とは別に原因があるのではと思うのですが、それを突き破ったときに、また新しい面白さが見えるのかもしれません。
80点/実際…627点(5位)

5.ナイツ

これまで、スリムクラブをのぞいては、まだあまり爆発を起こせていない状況。その実力をもってすれば、ベスト3に入ることは難しくないと思いました。
で、ネタは主に「2010年のスポーツ全般」。この「全般」というところがよくなかったのかも。聞いていて、ネタがあっちこっちに行って、頭が追いつかない人も多かったのではないでしょうか。後半の、前半部分をフリにしての言いまつがいも、前半のインパクトが弱かったために、その面白さが半減してしまった感があります。
結果は、銀シャリにも届かず。ネタ次第では上位をうかがえただけに、ちょっと不完全燃焼な思いが残りました。
87点/実際…626点(6位)

6.笑い飯

昨年の「鳥人」に味を占めたか(^^)、今年は「サンタウルス」。
これまで、その発想の突飛さには面白いと思えることが間々ありましたが、どうしてもお互いのツッコミの聞きづらさが気になって、いまいちそのネタにのめり込めなかった笑い飯。
ただ、ここ数年、アメトークはじめフリートークでの西田や哲夫をかなり見てきたこともあって、「聞きづらさ」の壁がなくなったことで、だいぶネタに集中していける体制に。
そのなかでのサンタウルスは、昨年の鳥人ほどのインパクトは無いものの、「ウロスを前に付けた」「なりかけを触りな」「法で裁けないらしいよ」など「らしい」ボケの数々で、このメンバーでは1位だろうなという出来でした。
88点/実際…668点(1位・同率)

7.ハライチ

昨年に引き続き、決勝進出。数々の中堅芸人をさしおいての決勝進出ということで、昨年からの上積みがあるんだろうなと期待して見たのですが、残念ながらそれを見てとれず。ノリボケの連発という手法上、面白さを倍加させるアレンジは難しいのかもしれませんが、それにしてはちょっと策がない感が。「新しい手法」と評される現在のスタイルも、厳しいことを言えば、準決勝でハライチを決勝に上げた審査員が思うほど、視聴者は面白いと思っていないというのが現実のような気がします。
81点/実際…620点(7位)

8.ピース

キングオブコントでは2位に入る健闘を見せるも、漫才ではまだ評価が高いとは言えないコンビ。ネタは「言葉のイメージに合わせた言い方」。ネタの目の付け所は悪くないのですが、「面白さ」を感じるにはもう一つ足りない感じ。特に、「頭で考えたネタ」感が端々に出てしまうのが気になりました。フリートークでは武器となる綾部のハッキリ口調も、漫才だとちょっと説明的な感じに聞こえてしまいました。
「『なぜピースが選ばれたのか』という疑問に答えられるネタではなかった」というのが、ネタを見終わっての印象でした。
82点/実際…629点(4位)

9.パンクブーブー

敗者復活を勝ち上がっての決勝進出。正直、敗者復活で放映されたネタの前半だけでは、その面白さを測りかねたので、後半はどういう展開になるんだろうと思って見ていました。
肝は「(悪そうな)兄ちゃん」が本当の意味での「兄ちゃん」という設定だったと明かした瞬間。着眼点は面白いものの、あと一歩何が欲しいというなかで進行したネタが、そこで着火した感がありました。昨年の「失礼な態度をとり続けるキャラ」ネタには及ばないものの、ネタの方向を変えても笑いがとれる実力は見せたかなと思います。
87点/実際…668点(1位・同率)

結果、パンクブーブー笑い飯スリムクラブの3組が最終決戦進出。
個人的には、笑い飯88点、パンクブーブー87点、ナイツ87点、ジャルジャル85点、スリムクラブ84点……と点数をつけましたが、「これは本当に面白い」と思えるような組は残念ながらいませんでした。

最終決戦は、スリムクラブ → 笑い飯 → パンクブーブーの順番。

ここでは、スリムクラブが、「2ネタ目は厳しいかも」という不安をよそに、1ネタ目を上回る暴れっぷり。1本目のときは、まだそこまで心を動かされませんでしたが、2本目は、ちょっと来ましたね。よくよくネタを振り返ると、独特な間だけでなく、一つ一つのボケやツッコミ(説得(by宮迫))、また設定のクオリティが高いことにも気づきます。1ネタ目の「一番強いのは放射能」というボケもかなり強力だし、2ネタ目の「高い教育」「説明会」「良くない目で見ている」と一連のやりとりで発せられる言葉も、心をつかみます。また、目立たないですが、2ネタ目で歌った曲の止め時(THE BLUE HEARTS「青空」、ブルーハーツ好きなら知っている曲だが、一般的に知られている曲とは言えない)もちょうどいいタイミングだったと感じました。
一方、笑い飯の2本目は「小銭の神様」。設定は面白かったのですが、ボケは全体的にちょっと粗かったですね。織田裕二の「お金がない!」みたいな、わかる人にしかわからない時事ネタはちょっと笑い飯の良さを半減させてしまった感がありました。
パンクブーブーは、1本目と同じスタイルだったことが、結果的に見ている側に「飽き」をもたらしてしまう結果に。

結果、優勝笑い飯
自分であれば、スリムクラブに入れたかなと思いましたが、投票が4対3に割れたように、また松本人志が「スリム飯」と言ったように、本当に僅差、でも順当かなと思える結果でした。

全体を見終わっての感想は、やはり数年前に比べて、ネタ全体の面白さがダウンしているなということ。
これだけ多くのの芸人がネタをやっている状況下、どこかで見たようなボケやツッコミが溢れ返っている状態。また、20代前半から中盤で、これといった若手が見あたらない状況は、ちょっとこの先、不安を感じてしまいます。
M-1が終わるということで、今後、キングオブコントになだれ込む芸人が多くなるかもしれませんが、コントの場合、漫才よりは特色が出しやすいという側面があるので、そこに来年は期待したいと思います。
あとは、キングオブコントやR-1以外に、芸歴10年以上の中堅芸人(もちろん「面白い」という大前提はありますが)がクローズアップされる番組を作ってほしいですね。
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by momiageculture | 2010-12-27 03:14 | お笑い | Comments(0)

お笑い・音楽レビューを中心に続いています。細々と更新し、20年目。SPECIAL OTHERS、スカパラ、ゴッドタン、クイズ☆タレント名鑑 etc。/スポーツ系記事はこちら→http://agemomi.exblog.jp/


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