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誰が伊良部にふさわしい?

この前、「何か読む本ないかなあ」と思って買ったのが、奥田英朗の「イン・ザ・プール」。

最初はストレス解消のつもりだったのが「プール依存症」になってしまった30代後半男、「勃ちっ放し」になっちゃったバツイチ・サラリーマン、ストーカー不安症に陥ったタカビー(死語)・コンパニオン、携帯メール依存症の高校生、絶えず「自宅が火事になってるのでは?」と妄想癖になってしまったフリーライター……が、色白でデブの精神科医伊良部一郎の診療室(実際は、総合病院の地下の神経科)を訪れる話です(全5話)。

話の肝は、文庫の帯コピーにあるように、「こいつ、本当に医者か!?」と思わせられる伊良部の患者への対応っぷり。
「勃ちっ放し」の男にディズニーランドのビックサンダーマウンテンを勧めてみたり、ストーカー不安のコンパニオンには「僕がボディガードになってあげよう」としゃしゃりでたり、自宅火事不安症に陥ったライターには「じゃあ、部屋に水まいてみたら」と言い放ったり……と、まるでテレビの俗悪相談番組なみのいい加減っぷりです。
さらに、これだけならまだ洒落の範囲内なのですが、しまいには自分もプール依存症になって夜中にプールに忍び込もうとしてみたり、妄想癖を治すための行動療法と称して、ライバル病院の窓を割りに行くのに患者を巻き込んだり、とその行動はエスカレートの一途(ただし、これらの行動は、患者に「何か」を気づかせるためのフェイクの可能性もあり)。

こうした伊良部のすべての行動に共通しているのは、「他人にどう見られているかまったく気にしない」という精神です。
医者という「地位」と豊富な「財力」を持っているからこその強気(非常識)っぷりといえるのかもしれませんが、この非常識っぷりが徐々に患者たちの癒しになってくるのが面白いところです。

ちなみに、メール依存症の高校生を描いた「フレンズ」(4話目)は、高校の教科書に載せてもいいのでは?と思えるほど素晴らしいお話。主人公の高校生に携帯メールのやり方を教えてもらうや否や、1日100通ものメールを送る伊良部の暴走っぷりはスゴい(しかも内容は「これからお風呂に入るよ」とか「晩ご飯はハンバーグだよ」とかしょーもないものばかり)ですが、最後はホロッとさせられます。(逆に他の4話は載せない方がいいでしょう(^^))

全話読み終えると、一瞬「こんな精神科医がいたら、面白いなあ」と思いますが、冷静に考えたら、絶対こんな精神科医なんかいるわけ無し(いたら本当に迷惑(^^))。
ただ、「ドラマで見てみたいなあ」と思いました。しかも、ゴールデンタイムとかじゃなく深夜帯で。

となると、伊良部には誰が適役なんだろう……と考えたのですが、なかなか「デブで無神経で、でも次第にその非常識さが心地よくなってくる」という雰囲気を醸し出せるような役者は思いつきません。
体型的に似ていて演技に味があるという点では田口浩正あたりが浮かびますが、ちょっと弱気キャラの印象があるので、伊良部の無神経さをうまく醸し出せるが心配。ビジュアル的には、岡田斗司夫あたりがピッタリだと思うのですが、俳優じゃないしなあ……。

と思ってたら、既に松尾スズキ主演で映画化されていたようで。これはこれで評判がよかったようですが、個人的にはもっと見かけがダサい俳優でやってくれると親近感がもてる気もします(映画版は、患者もオダギリジョー、田辺誠一と格好いいどころが演じているので、患者役もできればもっと小市民的な役者にやってほしいですね)。

なお、伊良部の他にもう一人、謎に包まれている感じの看護婦の「マユミさん」(突っけんどんだが、なかなかセクシー。注射を打つときに必ず太ももをのぞかせる(^^))役を誰が演じるとピッタリか?に思いをめぐらせてみるのも面白いかもしれません。


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by momiageculture | 2006-08-09 02:54 | | Comments(0)

お笑い・音楽レビューを中心に続いています。細々と更新し、20年目。SPECIAL OTHERS、スカパラ、ゴッドタン、クイズ☆タレント名鑑 etc。/スポーツ系記事はこちら→http://agemomi.exblog.jp/


by もみあげ魔神
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