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「M-1」復活後の「THE MANZAI」の意義

先日プチ感想を書いた「M-1グランプリ 2015」について、もう少し長いレビューを書こうと思ったが、その前に、今年の「THE MANZAI」を見た感想を。

昨年までのコンテスト形式から変わり、“漫才師のオールスター大会”という形で放送された、今年の「THE MANZAI」。形式的には、すでに3回放送されている「ENGEIグランドスラム」と同じだが、番組名のとおり、演者は漫才師のみ。
名のある芸人が集っての番組だったが、たびたび映されていたネタ前の表情を見ると、出演者にとっては結構緊張感を伴う番組であることがわかる。
「“オールスターメンバー”とうたった大会だけあって、やはり、どの組も面白い……」と書きたいところではあるが、レベルの高いメンバーが集まったことで、ちょっとした停滞感や隙が目についたり、観客のウケの大小の差がハッキリわかったりと、ごまかしがきかない舞台であることを感じさせられた。
また、通常より長いネタ時間(5分ほど)ということで、これだけキャリアのあるメンバーでも、そのすべてを隙なくやることは難しい、ということも感じた。

最近、ネタをほとんどやる機会の無い、おぎやはぎは、当然のことながら、“なんとか5分持たせた”という印象。それでも、ある程度の笑いがとれるのは、キャラクターのなせる業だが、野球好きの自分でも、2015年に“二岡”という選択肢は無い。
今回も登場シーンだけ見れば100点満点、50歳を迎えた今も、ほぼ間違いなくネタで笑いをとる爆笑問題ですらも、今回は苦戦しているように見えた。時事問題漫才という切り口が今回の客層と合わなかった可能性もあるが、高木大臣などといったセレクトは、わからない人も多かったかもしれない。
サンドウィッチマン、タカアンドトシといったあたりは、ほぼ満遍なく笑いをとっていたが、それでも、5分という尺だと、ちょっと“落ちる”瞬間もあるところに、長めの(現在のテレビでのネタの長さからすると)漫才をやることの難しさを感じさせられた。

そんななか、印象に残ったのが、“チュートリアル”と、”矢野・兵動”。

チュートリアルの漫才自体、久々に見たが、他の多くの組が、ネタ中、間があく時間があったなか、ほぼ5分間、笑いたくなる空気感を持続させたところに“凄さ”を感じた。
ネタの構造は、M-1で優勝した頃と同じく、外見とは裏腹の徳井の変態性に、一般人である福田がツッコミながら引いていくという形だが、テンポ・空気感とも、その頃のレベルを維持している。
M-1で優勝したのは、2006年。そこから9年経っても、このレベルの漫才が出来るのは、かなり凄いことだと思う。
おそらく、徳井が本当に変態なんだ(^^)ということと、もう一つ、福田の「ツッコミの緩急+本当にそう思ってそうな表情」というところも、面白さを持続している要因の一つだと思った。
最近は単独ライブはやっていないようだが、今のレベルなら、5本ぐらい立て続けに漫才をやっても、すべて笑いがとれるのではないか。

印象に残ったもう1組の、“矢野・兵動”。
今回のメンバーでは知名度が低いコンビ(特に関東では)。演順も後ろの方だったが、結構、存在感を見せたと思う。
正直言うと、漫才のタイプとしては、必ずしも得意なタイプではない。隙間なく入る合いの手。オチまで結構引っ張る長いフリ。若干予想もできる“あるあるオチ”……。
ただ、それらの見せ方が抜群に巧い。
“話術”というとちょっと高尚な感じになってしまうが、“空気や感情を伝える技術”。それは必ずしも言葉だけではなく、表情、視線、動作なども。具体的に言うと、兵動の、客を招き寄せるような合いの手のタイミングと、絶えず色々な方に配る視線。そして、矢野の“落とし”での瞬発力+表現力。
昔から見ている芸人ではあるが、今回改めて、漫才師としてのその技量の高さを再確認させられた。

おそらく来年も、同じような形で開催されるであろう「THE MANZAI」。
コンテストとしての大会ではなくなったが、ネタ時間の長さや出ている芸人のレベルの高さによって、ごまかしがきかない舞台であることで、“実力派”と言われる漫才師たちの「現在」の技量を見るには格好の番組ではないかと感じた。


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by momiageculture | 2015-12-25 01:06 | お笑い | Comments(0)

お笑い・音楽レビューを中心に続いています。細々と更新し、20年目。SPECIAL OTHERS、スカパラ、ゴッドタン、クイズ☆タレント名鑑 etc。/スポーツ系記事はこちら→http://agemomi.exblog.jp/


by もみあげ魔神
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