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『笑けずり』セミファイナル。 ~第6回レビュー~

いよいよ、第6回を迎えた『笑けずり』。

ここまで残ったのは、ザ・パーフェクトAマッソぺこぱオレンジサンセットの4組。
そして、いよいよ、4組から3組に。

今回は、各コンビ、ネタを生み出す苦しみにスポットが。
特に、ザ・パーフェクトのネタ作りの様子がクローズアップされる。

普通、ここまで「裏側」にスポットをあててしまうと「努力の裏側を見せることの格好悪さ」じゃないけど、フラットな立場でネタを見れなくなるマイナス(特に「お笑い」という、人を笑わせる仕事という性格上)が出てくることもあるのだが、そうしたドキュメントの部分とは分離して、ネタはネタで笑わせられるのは、ザ・パーフェクトの地力だと感じた(目立たないところで、取材側の「フレーズなどネタの具体的な中身の部分には立ち入らない(あるいは、オンエアはしない)」といった配慮によるところもあるが)。

今回の講師は、サンドウィッチマン
予告で、自分たちのネタをボードで説明している様子は流れていたので、なんとなくやることは想像できていたが、まあ隙の無い講義。
テーマ自体が「隙の無い漫才」だったんで必然的にそうなるところもあったが、M-1優勝という結果、さらにはその後も面白さを保ち続けているという「実績」の裏側を見せつけられた思いだった。
富澤も怖いし、伊達も珍しく怖かった(^^)。
特に、ネタ中に出てくる「パンを何のパンにするか」を2ヶ月間考えて「メロンパン」にした話は象徴的。

ただ、ちょっと話が脱線するが、実際、当時M-1でそのサンドウィッチマンのネタを見たとき、「焼きたてのメロンパン」というフレーズは、そんなに引っ掛からなかった。あくまでも自分の感想だが、ネタのなかでも、そこまで笑いが起きた箇所ではなかったと思う。もしかしたら「焼きたてのクロワッサン」の方がウケは大きかったかもしれない。
「メロンパンという選択が面白かったかどうか」ということを言いたいんじゃない。要は「2ヶ月考えたから面白い」という保障があるわけじゃないということ。そう考えると、「答えの無さ」という意味では、お笑い芸人は本当に大変な世界で生きていると思う。
その他にも、「一番興奮するのは○○だよね」という入りも、最初は「何言ってんだろう」とぐらいの引っ掛かりしかなかった。ただ、これは、サンドウィッチマンを何回か見ていると、その入りの強引さに、ちょっと笑みがこぼれたりする(「ちょっと何言ってるかわからない」のボケも同じように、最初はピンと来なかったが、今や、サンドウィッチマンのキラーフレーズに)。

話を『笑けずり』の話に戻す(ネタは、HPで全編ネタを見ての感想です)。

今回のネタ1番手は、ぺこぱ
前回、「漫才コント」で1位を取ったということで、今回も、同じような設定に。
ただ、現実はそう甘くなかった。
つかみのローラーシューズでの「左行って、もう一度右行って、『キーザー』の入りからの口笛」を、今回はあえて崩していたが、ここまでの一連のお約束の動きは崩さない方がよかったと思う。
その後のネタも、ずっと、上滑りな感じ。レスキュー隊という設定が、見ている側に、そのスタンダードな仕事の様子が見えづらい設定だったのも、その一因だったのかもしれない。
一つ一つのボケを見ると、そこまで悪くないが、ボケによっては、ツッコミの技量も要求されるものも。その意味では、シュウペイの現時点での力が、ネタに出てしまったところもあるか。
細かいところを見ると、家に入るときに、住人の存在を無視してしまう(いきなり、ぬいぐるみの所に行ってしまった。家族との会話のところで、いくつか笑いを生める可能性もあったのだが)など、流れの説明不足もあった。
『笑けずり』を見ていて、一番応援する気持ちが芽生えたコンビだったが、この出来ではかなり厳しいか、という感想。

2番手は、ザ・パーフェクト
ネタ作りでは、かなり苦闘している姿が映っていたが、実際の出来は、やはり高い出来。
厨房のくだりが、少し前回の「ファミレス」ネタとかぶっていたが、審査員の半分以上は前回のネタは見ていないので、そこまで気にするところではないだろう。
毎回やる、つかみの「ザ・パーフェクト」で使っている文字にちなんだボケは、前回までの印象と同様「もう少しパンチがほしいなあ」と思ったら、やはり富澤が指摘していた。
オチについても「もう少し盛り上がった状態で、オチにいってほしい」と指摘されていたが、ここは、現在の型がほぼ決まっているので、変えるとなると、かなり難しいところ(現在のオチのふにゃふにゃっとした感じも嫌いではない)。もし、ここがさらにパワーアップしたら、相当面白いコンビになるが。
ネタの作りは、かなりパーフェクトに近いコンビなので、今後、さらに上を目指すには、ボケとツッコミとのちょっとした間だったり、繰り返しになるが「つかみの強化」といった部分か。
なお、妹尾は、番組が進むにつれ、泣き虫キャラが定着(?)。

3番手は、オレンジサンセット
正直、ザ・パーフェクトがかなり面白かったので、あとの2組はきついかもなあと思って、見ていた。
ネタ合わせの映像では、野球のスイングネタかと思ったが、実際はゴルフ。
残念ながら、今回も、こちらが期待するライン以上の面白さは、感じられず。
岡田のツッコミ方は面白いのだが、ツッコまれる肝心の下村のボケが、そこまで面白みのあるものではなく。「お前、ゴルフクラブ差しに来てくれ」「なんで俺が差しに行かないかんねん」では、普通の日常会話になってしまう。
「いつもお前、ジャケット来てるのに…」といったフリも、ほとんどの人はそのことを知らないので、このあたりの削ぎ落としは、ネタ作成段階でしておいてほしいところ。
Aマッソ・村上に「最後まで変な顔やった(ブログ日記より)」と言われた(^^)岡田の存在感は貴重だし、やけに浅井企画感(実際はホリプロコム)がある下村の2人は、いい意味でクセが無いコンビだとは思う(今は、クセがあるコンビが多数なので、こうしたコンビがいてもいいとも)。
「お」を過剰につけるボケなど、随所に面白いポイントもある。
ただ、前回も書いたが、もうひと苦しみしないと、次のステージに行くのは難しいという気はする。

4番手、そして「合宿最後」のネタをしたのは、Aマッソ
前々回、そして前回と、ちょっと勢いは下がり目。
正念場ともいえる今回だったが、ネタ作りのシーンで、チラッと映ったネタノートに「檀れい」の文字を見た時に、今回は大丈夫そうだなと思った。
実際のネタも、「マンホールの裏に、この世で一番美しいものが描かれている」→「この世で美しいものといったら……檀れい」→「マンホールのひっくり返し方を考える」と、Aマッソしか、考え付かないような内容。
後半の短フレーズ畳み掛けは置いとくとして、途中までは、見ている側も「追える」ネタ構成。久しぶりに、その存在感を見せつけた。
惜しむらくは、最後の畳み掛けのところが、笑い飯を彷彿させてしまったこと。
「笑い飯に憧れていた」というのは、番組内でも触れられていたが、そのスタイルを完全にトレースしてしまうと、若干、二番煎じ感が出てしまう。
「女性版笑い飯」などとカテゴライズされるだけでは、あまりにもったいないコンビなので、できれば、他のコンビに似ていると思われてしまう要素は、極力排除してほしい。
なお、ネタ後に、伊達が言った「男を笑かしにいってる」といった寸評は、もの凄く腑に落ちた。
番組のキャッチフレーズでは「クール女子」とつけられたが、正直、視点が半分、男。今回のネタで出てきた「モンゴリアンチョップ」もそうだし、以前のネタで出してきた「江夏豊」というフレーズも、本来なら世代的には知らないはずなのに、父親の買ってきた東スポ(というか、土地柄的には大スポ?)とか日刊ゲンダイとか読んでるんじゃないかと思うと納得できる(実際はどうか知らないが)。

そして、審査。
今回は、明らかに1位・2位グループと、3位・4位グループという出来。
1・2位の争いは、Aマッソが制した(オンエアを見た印象だとザ・パーフェクトの方がとも思ったが、HPでネタ全編を見ると、Aマッソの方が、ネタの濃さは勝っていたかと)。
で、「天国と地獄」を分ける、3位・4位の争い。
正直、本当にわからなかった。
オレンジサンセットは前回同様、そこまで良くは無かったが、ぺこぱの出来も悪かった。
どちらがけずられても、納得と言う印象。

3番目に読み上げられたのは、ぺこぱだった。

前回の、こゝろの合宿所をあとにするシーンも『笑けずり』の番組を象徴する画だったが、今回の松陰寺の涙も『笑けずり』を象徴するシーンだと思う。
しかも、そのときの心境を書いた松陰寺のブログを見ると、涙の理由は、今回の良くない出来で通過した「悔しさ」であったり、オレンジサンセットに対しての「申し訳なさ」であったり、そして「安堵」であったり……とのこと。

合宿で6組が落ち、ついに3組が決まった。

いよいよ、今週金曜。
3組による決戦が行われる。


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by momiageculture | 2015-09-20 01:45 | お笑い | Comments(0)

お笑い・音楽レビューを中心に続いています。細々と更新し、20年目。SPECIAL OTHERS、スカパラ、ゴッドタン、クイズ☆タレント名鑑 etc。/スポーツ系記事はこちら→http://agemomi.exblog.jp/


by もみあげ魔神
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