『笑けずり』― 改めて「いま一番面白いお笑い番組」
2015年 09月 15日
まさか、ここまでハマることになるとは(^^)……ということで、4度目の『笑けずり』レビュー。
先週、第5回を終えた『笑けずり』ですが、今回の流れとしては、ピンボケたろうの恋物語(結構あっさりと、10分ぐらいで終わった(^^))→課題との相性に苦しむコンビの姿→全5組のネタ見せ→別離の涙、といった形。
途中、毎回異なる講師(課題)であることによる番組としての難しさが出た場面もありましたが、最後は、テレビを見ていても思わず涙目に(?)なってしまう展開。
ということで、今回は、前回のような芸人レビューではなく、第5回の放送自体のレビューをしようと思います。
●「ピンボケの恋物語」は、結構な急展開だったが、放送の尺的にもかなりの早期決着で、刺身のツマのような扱い(^^)。
●講師が、前3組とは毛色が違うバイきんぐということで、講義・審査とも、予想がつかなかった今回。お題は「漫才コント」。小峠は一生懸命語っていたが、試練に次ぐ試練で若手芸人たちが心身ともに疲弊している状況、またコンビの芸風的に今回のお題に合いづらいコンビもあり、オンエアを見る限り、若手芸人への浸透性は、前3回と比べると大きくはなかったか。
●小峠の人の良さが出たのか、あるいは、ブレイクしてから年数がそれほど経っていないからか、語尾がなかなか断定口調にならなかったのも、発言の訴求力を弱めてしまった感が(審査の時も、どのコンビに対してもまずは「面白いですね」の枕詞から入るという気遣い)。
●ただ、それだけで、今回の講義の意義を判断するのは早計だろう。おそらくオンエアにならなかったところで、自身のこれまでの苦労体験も話していただろうし、元々かなりのインディーズネタをやっていたところから、誰もが「わかる」ネタをやるようになるまでの「過程」というものは、ベタなネタをやらない芸人が一番参考にするところでもある(その「変化の過程」を実際に講義で話したかどうかはわからないが)。
●今回、お題との相性の悪さで、かなり追い込まれたAマッソ。笑い飯の言っていたこと(他がやっていないことをやる)とは全く逆の設定でもあり、混乱する気持ちもわからなくはない。(笑けずりの)次回作があるならば、毎回、毛色の異なる講師(テーマ)にすることによって、「外れている」ことがウリのコンビへの評価の難しさが生まれる、という、番組としての課題は残った(そういう意味では、ランジャタイなんかは『笑けずり』のシステムには向かないだろうなあ)。
●ただ一方で、「外れている」ことがウリの芸人でも、制約のあるなかでネタを考えるというシチュエーションに対応する力をつけておくことは、長い目で見れば大切なことかもしれない。その意味では、今回のAマッソの場合、設定は「医者による検査」だとして、その検査自体を、わけわからないものばっかりにするという形はあったかも。「医者(実際はナースの設定だが)」→「検査報告」とベタな設定に2段階分費やしたことが、自分たちのよさである「自由さ」を半減させてしまった要因かもしれない。
●その意味では、「手術」という1段階だけベタな設定で、2段階目で「健康な人間を手術」という常識をひっくり返した設定を持ってきた、ぺこぱのネタ構成の評価は高かった。
●それにしても、回を重ねるたび、松陰寺の底力がどんどん見えてくる。麻酔銃を打つ場面での擬音とか、やるだろうなと思っていても笑ってしまうワックスのくだりとか、キャリアの長さに裏打ちされた(?)演技力はなかなかのもの。
●一方のシュウペイ。オンエアではあまり目立たなかったが、HPでネタ全編を見ると、前半かなり噛んでいた。また終盤でも、「ついてけねえよ!」のセリフを一足早く言いかけてしまい、松陰寺渾身のボケ「エリーゼのためだ!」の威力を半減させる。
●それでも、今回は納得の1位のぺこぱ。なお、シュウペイは、広島の大瀬良にちょっと似ている。
●ザ・パーフェクトは、安定の出来。ただ、尾上松也の「ザパー」連呼は、ちょっと鬱陶しかった(^^)。
●オレンジサンセットは3位での通過だったが、小峠が言うほど、独創さは感じなかった(フリからして、「たぶん、寿司っぽくないものを頼むんだろうな」というのが予想できてしまった。オンエアに載っていない部分で独創的なところがあったのかとも思ったが、HPで全編ネタを見ても同じ感想)。
ここまで、「Wピース」と「体で十字路」以外は、あまり目立った活躍の無いオレンジサンセット。下村の無責任に見える感じとか、戸惑わせると面白い岡田のツッコミとか、面白を加速させそうな要素は持っているだけに、「けずり」の最終回となる次回、もう一皮むけた姿を見たいところ(スタジオトークのテロップでも、「誰にも推されてないオレンジサンセット」という扱い…)
●今回残念ながらけずられてしまった、こゝろだったが、『笑けずり』の「番組としての面白さを引き立たせてくれた」コンビといいっていいだろう。
●改めて、こゝろを推した中川家・礼二(だけではないかもしれないが)の慧眼は見事。
●当たり前だが、今回の、『笑けずり』での成長が、そのまま今後の活躍を保障するものではないが、芸人としての礎を作る番組になったのは間違いないのでは(願わくば、その他のコンビにとっても、そうした番組となってほしい)。
●その、こゝろが、宿を後にするシーン。第1回の、いらんいらんとは、ずいぶん様相が変わったものだ(^^)。
●山出谷がHPの日記に書いた「見送りもいつも見送りに来なかった人が来て、残ってる人が全員来てくれた。それがうれしかった。」の文章が泣ける。
●話変わって、けずりの宣告者、青井アナ。なぜか、右手の親指に包帯(^^)。
●「なぜ、このタイミングで」と思ったのだが、前回の放送を見てみたところ、実は前回のけずりの場面でも包帯を巻いていた(気づかなかった)。
その前は怪我しておらず、マイクは右手持ち。さらに、その前の放送回ではピンマイク。
●話を第5回に戻して、こゝろを見送った食事後、「おいしかったですか?」と、芸人たちに、感情のない声かけをする青井アナ。
●それを受けて、「涙とまざって、いい味になりました」と返す松陰寺。ネタよりもキザなセリフ。
ということで、いよいよ、来週「ペンション笑けずり」での、けずりはラスト。
講師はサンドウィッチマンで、テーマが「賞レースで勝てる漫才」。
このテーマに拒否感を感じる人もいるかもしれませんが、芸人にとっては、一番「リアル」なお題かもしれません。
ちなみに、審査員は、サンドウィッチマンに加え、トレンディエンジェル、倉本美津留、水道橋博士、松井修平(番組プロデューサー)という面々。
かなりバラエティに富んだ審査メンバーなので、どういう講評が出るのか。
(ちなみに、浅田舞は変わらず出演で、おのののかの復帰は今回も無し)
オーディションから数えると、250組→25組→9組→8組→7組→6組→5組→4組、そして、ついに最終回に残る3組に。
今週も金曜が待ち遠しくて、たまりません。
(なお、9/20~9/25深夜に、第1回から第6回まで一挙再放送予定)