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『笑けずり』 芸人レビュー

爆笑ファクトリーハウス『笑けずり』も、先週の放送で第4回(メインタイトルの見事さに比べて、この「爆笑……」というサブタイトルの垢抜けなさはなんだ)。

ちょっと、見ている側としても、慣れを感じつつある、折り返し地点。
画面からも、各コンビ、かなり疲れの色が…(ペンションの廊下を歩く姿も、なんとなく重い)。
そのせいか、ネタの方も、ザ・パーフェクト、こゝろの2組の出来が非常に良かった一方、他の4組はどこが落ちてもおかしくないぐらい、調子(あるいはノリ)の悪さを感じました。

そんなわけで、今回は、番組の感想ではなく、各コンビについてのレビューを。
なお、他での活動はほとんど見ていないため、基本的に『笑けずり』のネタなどを見ての感想です。

いらんいらん
『笑けずり』の残酷さを一番最初に味わった芸人。
見かけはザ・芸人。ネタについては、『笑けずり』ではほぼ披露することが無かったので、その腕はわからず(^^)。ただ、すでに芸人としての「色」は十分過ぎるほど付いているので、あとは、その見た目からの期待度に負けない引き出しをどれだけ持てるかどうか。
基本的には、ごんたが引っ張るコンビだと思うが、それを空回りに見せないためには、見た目いい人そうな野村が、どういう役割を担うかが重要か。
なお、権田家ごんたの声が、初見ながらどうも聞き覚えがある声のように感じた。最初は、アメザリの柳原の声かなと思ったが、もっと似ている人がいた。タージンだ。

天然ピエロ
人目をあまり気にせず、端々にウザさを感じさせる羽柴と、金髪にはしているものの、ちょっと内向きさを感じさせる佐藤のコンビ。大阪と東京のコンビということもあり、見事に対照的な2人だが、今回の番組では、あまりコンビとしての「良さ」をアピールすることはできなかった。
羽柴のウザさは、もう初見でわかるので、それをどうやって引き立たせていくがポイント……という指摘はわかる。ただ、羽柴と佐藤のキャラがあまりに違い過ぎるので、それをどう打ち出していくか、というのは、結構難しいかもしれない。普通のキャラと羽柴が組む分には、日常会話のなかでのウザさという設定ができるが、この2人だと元が違い過ぎるので、「性格が全く違う2人が喋る」必然性の無さという問題をクリアする必要があるだろう。
その意味では、最初から、相反する2人して、(羽柴と)佐藤との「対比」を見せていった方が、何か新しいものが生まれるかもしれない。その手始めとして、2人とも同じ衣装というのはやめた方がいい気がする。

アルドルフ
削られたのは3番目だったが、芸人のポテンシャルとしては、今回のメンバーのなかでは残念ながら下位だったという印象(ファンの方には申し訳ないが)。オンエアを見る限り、審査員による推しポイントのコメントも無かった。
イケメンかどうかは、見た人の判断に任せるとして(^^)、「お笑い」をやりたいというよりも、「お笑い芸人」というものをやりたい、という感じがした、と言ったら言い過ぎか。いずれにしても、ネタに「考えて作った」感が出てしまっているうちは、まだ厳しい。
「意外とコンビ間で年の差がある」、松下の「オーストラリアで騎手」「大阪大学出身(卒業はしてないらしい)」といった芸人としてはちょっと変わった経歴、あと誰かがTwitterで指摘していたが、松下の声が顔のイメージより2トーンぐらい高い(^^)、といったあたりを生かせば、もう少し違うものが出てくるかもしれない。
おそらく、今回の結果は、本人たちにとっても屈辱以外の何物でもなかったのでは。これで、2年後ぐらいに、ビックリするぐらい面白くなっていたら、それこそ、逆の意味で「『笑けずり』効果、恐るべし」ということになるが。

ダイキリ
キャラとしてかなり立っている南部が、キャラ面でもネタ面でも表に立っているコンビ。確かにその佇まいや目つきに、ある程度の「闇」は感じる。ただ、実際に喋ると、かなり滑舌がよく、しかも声のトーンが明るいため、どうしても、売りである「闇」の部分のインパクトが弱まっていくように感じた。
また、相方の宮下も、風貌的には南部に似た系統(^^)のため、南部の「暗さ」「ヤバさ」を引き立たすことができず(逆に弱めてしまっている感も)、笑いを生み出す「落差」を起こしづらい印象があった。
打開策としては、南部がもっと暗くしゃべる、という手があるが、元々の声が明るいだけに、それでずっと行くのは難しいそうな気も。もしかしたら、今は「普通の人(宮下)」と「かなり卑屈な人(南部)」という立ち位置だが、これを2人とも同じベクトルを向くという形に変えるのもありかもしれない(例えば、モテないもの同士で知恵を出し合うネタとか)。
今回の『笑けずり』では、宮下のぶっ飛んだツッコミが「けずり」の決め手になってしまったようだが、根暗・卑屈・キモキャラといった芸人は、お笑い界にはもうすでにある程度いる状況。新たなスタイルとして、導入では南部の変さをアピール→ネタが進んでいくと、実は宮下の方が変ではないかという雰囲気に→宮下爆発→最終的に南部の方が引く、という形もあるかなとも思った。

オレンジサンセット
『笑けずり』の第1回では、そこまで特長のあるルックスではないものの、かなり練られたシュールネタで、ポテンシャルを見せた。ただ、その後は、6位(8組中)→3位(7組中)→5位(6組中)と、思ったよりも低空飛行が続く。
「体で十字路を作る」、「Wピースで生活」など、誰にでもわかる内容だけどシュールさも兼ね備えているネタ設定にはセンスを感じるが、先日の記事で書いた「あご勇」のように、ところどころに、ちょっと安易な要素を入れてしまうのは、若さによるものか。先週放送の回でも、かぶと虫つながりで、aikoの「カブトムシ」をネタに入れていたが、「有名な曲ではない」とは言わないまでも、2015年でのこの曲の立ち位置を考えると、曲名が一緒というだけで入れるのはどうなのだろうと思った(おそらく、さんざんお笑いネタでやり尽くされているアルフィーネタとかも入れてしまうのだろうな、と思ってしまう。個人的には、アルフィーネタをやっていいのは風藤松原までかと)。
『笑けずり』のHPでのコメントを読むと、現在のネタにある程度自信を持っている感じが読み取れるが、ここからさらに1まわり、2まわり面白くなるには、もう少し苦しんでほしいところ。

ぺこぱ
キザ芸人・松陰寺が、ビジュアル系バンドなみの激しいアクションで、動き回るネタ。
最初は、どこからどうみても「色物芸人」だったのだが、見ているうちに「ちゃんとしている狩野英孝」→「実は至極真っ当な人」と印象が変わっていった。
ただ、人となりについての印象が変わっても、ネタでの「キザキャラ」の面白さは薄れない。
初見なら誰しも驚くローラーシューズでの登場シーンも、LUNA SEA「ROSIER」での登場に始まり、扇子を持っての登場、「こんにちは~」という挨拶(あと、これは狙ったものではないが、ネタ2本目に疲れでコケるという登場も)と、意外とバリエーション豊富。
ネタの中身も、キザキャラのため何をやってもギャップがある、というハードルの低さはあるものの、結構1つの展開に色々な要素が散りばめられている。
笑い飯の回での、無関係連想しりとりでも結構最後まで残ったり、「(お笑い)何年やってんだよ」というツッコミに、「ギター歴か?」と返すレスポンスだったり、見かけよりも全然地力がある芸人・松陰寺(その反射神経が一番現れたのが、オーディション審査後に、「ずっとキザキャラやってんの?」との質問への、「そんなわけはない」という回答)。
となると、今後、笑いを倍加させるには、シュウペイの力がカギになる……かどうかはわからない(^^)。
『笑けずり』のネタ審査では、松陰寺に対する立ち位置が流動的であることが指摘されていたが、もしある程度ブレイクして(ちょっと気が早いが)、見ている側が慣れた来たら、元々の能天気さ(失礼ながら、端々に、ちょっと頭が悪い感じが垣間見られる)を出したツッコミをしてもいいのではと思う(ただし、「六本木のクラブかい!」のツッコミは、あまりに素人っぽ過ぎて、かなりの寒さを醸し出したが)。

こゝろ
なんにも情報が無い状態で近くにいたら、怖くて絶対話しかけられないコンビ(^^)。
「浪花の不良コンビ」という触れ込み、しかも芸歴3ヶ月、ということで、いったいこのメンバーのなかでどうなるのだろう、と思ったが、ここまでの回のなかで、最も伸びているといってもいいコンビ。
「2人のやりとりの醸し出す雰囲気」がこのコンビの強みだが、ネタの内容も、シンプルながら結構しっかりしている。
何より、山出谷のセンスを感じたのは、前回のネタ決めの際、「怖い人」の設定から「ウザい人」の設定に変えたこと。お調子者キャラの荒木とはいえ、やはり、元不良同士ということで、「怖い人」設定だと、ちょっと見ていて引いてしまう可能性もあるかなと思っていた。そこを「ウザい」設定に変える判断をする、というのは、かなり柔軟な頭、かつ、見る側の印象を見とる力が無いとできることではない(結果は、2位通過)。
荒木の動きキャラぶりも、結構強いインパクトがあるが、「黙して、ネタで語る」山出谷の思考にも注目したいコンビ。

Aマッソ
「独創系クール女子」という番組がつけたキャッチフレーズどおり、確かに、他の芸人のネタとは全く違う角度から切り込んで来るが、ネタを何回か見てくると、「独創系」は合ってるけど、「クール女子」という感じではない(^^)。
そのネタの特徴を説明する際、「(加納自身が憧れであった)笑い飯のテイスト」というのが、一番わかりやすいのかもしれないが、その説明だけだと、ちょっとAマッソを表現するにはもったいない。
マウンドからサッカーボールを蹴ったのを、バッターボックスの打者がバットで打ち返す、と思いきや、横からクリケットの選手が出てきて、そのボールを強打。さらに、それが空中でバスケットボールになり、外野に落ちたところをふわっとシュート。と、今度はゴルフボールになって、最後はゴルフカップの中へ…。
とにかく、かなりの確率で、後頭部からのハイキック並みのボケ、あるいは設定が押し寄せてくるネタ。そして、2人とも、声のトーンが高い(^^)。
なんにせよ口調も含め独特。設定に1本でも筋が通っていれば、「追い切れるなかでの突拍子も無い笑い」というのを感じることができるが、前回のように、あまりに設定があっちゃこっちゃ行っちゃうと、千鳥が指摘したように、見ている側が途中から追うのをやめることにも…。
ただ、このあっちゃこっちゃ行くのがAマッソの魅力でもあり。その意味では、見る側が流れを見失わない「最低限のルール」をどの要素に見出すかが、今後、その奇天烈さが「伝わる」確率を上げていくカギでは。個人的には、村上の急にテンションが変わるツッコミ加減が気になる。何を言っているかわからない(^^)こともあるので、そのあたりを変えていくと、まただいぶ印象も変わるのでは。
なお、村上の顔が誰かに似ている気がするのだが、なかなか出てこない(声の張り上げ方とかを聞くと、女子プロレスとかにいそうな感じもするのだが)。

ザ・パーフェクト
字面だけ見ると、かなりハードルを上げているコンビ名だが、ここまで、その期待以上の面白さ。
最初は、ピンボケたろうの独特な一言ツッコミが目立っていたが、段々と、妹尾の淡々かつ突拍子も無いボケの切り口にも目が行くように。
審査員も言っていたように、妹尾がどんなにおかしなことを言っても、ピンボケたろうのツッコミによって、一度、常識の世界に戻してくれる。
しかも、説明ツッコミであるので、毎回のやりとりは常に成立。ということで、見ている側が一定のリズムで追うことができる。それにより、ボケのセリフ・ツッコミのセリフの両方に「次は何を言うんだろう」と、常に期待を持って見ようとする気持ちが持てる。非常によく考えられた「システム」(^^)。
どこまで、これが本人たちが意図的に作ったものなのかはわからないが、「少し名前が売れている若手中堅芸人と並んでも遜色ないところまで来ている」といってもいいだろう。
あとは、最初のつかみでの「ザ・パーフェクトの『・』は…」のくだりの面白さをもう少し上げると、さらにつかみでグッと引きこむことができるのでは。
ちなみに、ハードパンチャー妹尾という芸名には、「ノーパンチ松尾」以来の、キャラの普通さと芸名の目立ち感とのちょっとした違和感が(^^)。


ということで、『笑けずり』第4回までを見ての、芸人レビューでした。

この後、現在の5組から3組の審査において、どこが落ちるか(どこが残るか)は、そのときの調子も含め、かなり僅差での戦いになるのではないかと思います。

また、バイきんぐ、サンドウィッチマンが、若手芸人に向けて何を話すかも楽しみ。




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by momiageculture | 2015-09-09 02:15 | お笑い | Comments(0)

お笑い・音楽レビューを中心に続いています。細々と更新し、20年目。SPECIAL OTHERS、スカパラ、ゴッドタン、クイズ☆タレント名鑑 etc。/スポーツ系記事はこちら→http://agemomi.exblog.jp/


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