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「THE MANZAI 2014」 を見て一番感じたこと

昨日行われた「THE MANZAI 2014」決勝。

「THE MANZAI」もはや4回目。M-1の後継番組的な感じで始まった最初に比べて、見る側も、若干“慣れ”を感じつつある第4回。

今回の決勝進出者は、下記の11組+ワイルドカード。

 学天即
 囲碁将棋
 馬鹿よ貴方は
 磁石
 ダイアン
 博多華丸・大吉
 アキナ
 和牛
 エレファントジョン
 2丁拳銃
 トレンディエンジェル

これといった優勝本命がおらず、本当にどの組にもチャンスがあると思えるメンバー。
派手さはないものの、それぞれがベストに近い状態でネタをすることができれば、結構面白くなりそうだなあ……という期待感が、番組前はありました。

以下、出演順にレビューを。


〔Aグループ〕

2丁拳銃
正直、大会前、一番心配していたのがこのコンビ。「決勝に残ったということは、結構、インパクトのあるネタか?」ということで、ハーモニカネタも予想したが、普通の掛け合い漫才だった。今回、何が決め手となって選ばれたのかを見たかったが、正直、それを見ることはできず。個人的に、(いつもやってる)最初のビートルズのくだりはいらないかなあ。

エレファントジョン
お笑いファンのなかでの評価が高かった昨年は決勝に残れず、そうした意味では2年越しの決勝進出。森枝の自由なボケをネタ終盤に加藤がつかまえるという展開は、若干見慣れてきた感もあるが、アレンジをすることで、そこまでパワーダウンを感じず、見ることができた。後続の出来次第で、グループ勝ち抜けもあるかという出来。
本筋と関係ないが、まだアメデオを組んでた頃の森枝は、新井康弘に似ているなあと思ったが、そのことを指摘されることは、今後もないだろう。
なお、事前番組で見ていることもあり、2組目で、すでに煽りVTRでの「家族を養ってなきゃいけない」エピソードが満腹ぎみに。

アキナ
キングオブコントに続き、今年2回目の、大型コンテストの決勝出場。
ネタ序盤は、若干噛みがちだったが、秋山と山名のコンビネーション、またネタのわかりやすさもあって、客席のウケもよかった模様。秋山の優しい喋り口調と、山名のゴツい見かけの割には純粋なボケが、決まってきつつある感じ。
漫才、コント両方やるコンビだが、個人的には、若干ひねたところのあるコントの方が好きかなあ。

磁石
本命不在という意味では、チャンスも十分にあった磁石。
やっているネタは、決してクオリティが低いわけではない。ボケのバリエーションも多い。
でも、グループ勝ち抜けできる水準とは思えなかった。
長年、お笑いファンを見ている人のなかには、磁石を応援している人も多い。自分も、M-1時代、なんとか決勝に行ってほしいと思って見ていた。
でも正直、そのM-1の敗者復活戦で何度も何度も壁にぶつかっていた頃に比べて、今の磁石のレベルは落ちているように思う。さらに言えば、「THE MANZAI」の第1回、第2回に比べてもインパクトは少なかった。
それが、ネタの爆発力なのか、佐々木のツッコミのタイミングがちょっと早くなってしまっているかなのか、正確なところはわからない。
でも、このままだと厳しい。そう思ってしまった4分間だった。できれば、ハマカーンのように、新たな武器を作って、もう一度浮上してほしいが。

投票の結果、アキナ5票、エレファントジョン4票で、アキナが1票差でグループ勝ち抜け。個人的には、エレファントジョンに行ってほしかったが、アキナを評価するという見方もわかるかなあ、という感じ。


〔Bグループ〕

トレンディエンジェル
この組は「予選1~3位の3組にトレンディエンジェルが挑む構図」という言われ方をしていたが、終わってみれば、トレンディエンジェルが根こそぎ持って行った感じ。
4分間、終始楽しい気持ちにさせてくれたトレンディエンジェル。しかし、ネタの内容を振り返ってみると、「斉藤さんだぞ」と、「ペッ、ペッ、ペーッ!」しか思い浮かばない(あと、今回は、2時50分もか)。それが最大の強みか。
ちなみに、「WaT小池徹平君と同じ……」のくだりは、いつまでやり続けるんだろう。

馬鹿よ貴方は
「認定漫才師お披露目SP」の時から存在感を見せていた、平井ファラオ光(という名前自体、そのときは知らなかったが)。本戦サーキットでも評価高く、本当に無名の状態での決勝進出。ただ、そんななかでも、ここ数か月で、要潤ネタをすでに2回見たので、どんなネタで来るんだろうと思ったところで、持ってきたネタはカレー屋。
ネタ中でも、ファラオの独特感は伝わってきたが、それが面白さには昇華しなかった印象。ただ、ネタを見ている途中、思わず「馬鹿だな……」とつぶやいてしまった。

囲碁将棋
お笑いファンのなかでは評価の高い囲碁将棋だが、自分はまだ、ここまでピンと来るものが少なかった。その一つが、ちょくちょく、ネタで90年代のJ-POPや野球を扱うこと。本来は世代的に、このときの音楽ネタはリアルタイムだし、野球も大好きではある。ただ、ことお笑いのネタとして考えるたときに、「わからなくても面白い」という消化のさせ方をしない限り、20代がわからない音楽ネタや、ある程度野球を知っていないとわからないようなネタをするべきではないと思っている。
そんななか、今回持ってきたネタは「肛門」(^^)。途中までは、面白くなりそうな雰囲気はあったが、中盤から、論理の展開がわかりづらくなり、ついていけなくなった人も多かったのでは。グループ勝ち抜けには、もう一つ別のテーマを挟み込むか、さらなる展開の変化が欲しかった。

学天即
数年前から、着実にレベルアップしてきたのであれば、十分、優勝も手の届くところにあった今大会。
ただ、過去2大会と同じく、今回もサーッと流れてしまうような結果になってしまった。
トレンディエンジェル→馬鹿よ貴方は、の流れに影響を受けたところがあるのかもしれないが、期待が大きい分、残念だった。
以前からもそうしたスタイルのときもあったかもしれないが、四条の入りが、奥田のツッコミと完全に分断されていて、いつもは入ってくる奥田のたとえツッコミも、ほとんど心に入ってこず。「ネタを作った」感が悪い意味で合間合間にでてしまい、学天即のよさでもある「自然な感じ」を受けることができなかった。数年前の方が、もう少し流れのある漫才をしていた印象がある。
今回の決勝での完敗が、さらなるステップアップのための貴重な試練であることを期待したいが、今後の学天即はいかに。

審査結果は、前述のとおり、トレンディエンジェルの圧勝。


〔Cグループ〕

まずは、決戦が始まる前に、ワイルドカード決定戦からの勝ち残りが発表される。
前日の決定戦での9組のネタを見て思ったとおり、三拍子が決勝進出。
なお、このワイルドカード決定戦も、20位から公開での順位発表。こうした可視化システムは「THE MANZAI」のいいところ。

和牛
「『がんばりましょう』言うてますけど…」の1フレーズで、4分間、展開させるネタ。初見のネタではなかったが、今大会では一番好きなネタだった。
ともすると、途中で飽きてしまうようなネタだが、それを飽きさせないのは、水田のキャラクター。普通だったら、指摘が細かすぎて「嫌なヤツだなあ」と思ってしまうところをそう思わせない「純粋」「天然」を連想させる雰囲気は、和牛の大きな武器。
なお、水田は、ソフトバンク(野球)の松中にちょっとだけ似ているが、もっと似ている有名人がいる気もする。川西の方は、大平かつみ以外に無い(^^)。

博多華丸・大吉
今大会、終わってみれば圧勝の華丸・大吉だったが、この1本目のネタが始まる時点で、博多華丸・大吉が優勝すると思っていた人は、決して多くはなかったのでは。
ネタの古さと新しさのバランス、ネタのスピード・間、二人の役割の分担、そして“人柄”と、ほぼすべてが整ったネタ。
惜しむらくは、大会前、本戦サーキットのレポを見たときに、ユーチューバーの入りをすることを知ってしまっていたこと…(あくまで個人的な事情ですが(^^))。それを知らなければ、もっと面白く見られたかもしれない。

ダイアン
地味に期待していたのだが、爪痕残せず。
ダイアンというと、やはりM-1でやった「サンタクロース」のようなネタを期待してしまう。
ネタ前の煽りVTRで、西澤が「津田の調子が全てのカギを握っている」と言っていたが、実際は「西澤の世界観が、うまく表現されるネタを作れるか」がカギだと思う。
リベンジを期待。

三拍子
ワイルドカードを突破し、さてどんなネタをやるのか。もちろん、ワイルドカード決定戦と同じネタをやるのだろうとは思ったが、実際そのネタをやって、ほっと一安心。
(ただ、このシステムをとるとしたら、審査員は、前日の決定戦は極力見ない方がいい、とうことになるが)
ただ、同じネタといっても、ところどころ変えてきていたのは、さすが。
「絶対正解するクイズ」という、流れのわかりやすさに加えて、ボケとなる質問のバリエーションも豊富で、存在感は見せられたと言えるのでは。
あと、久々に見て思ったのは、このコンビは、久保の表情が面白さを倍加させてくれるな、ということ(4年前、「龍馬伝」に藤吉役(近江屋で、龍馬が斬られる直前に、斬られた龍馬の従僕)で出演していたとき、どれぐらいの人が「あっ、三拍子だ」と気づいただろうか)。

そして審査結果。三拍子に勝ち上がってほしかったが、華丸・大吉の熟練さが上まわった(華丸・大吉 6票、三拍子 4票)。

決勝は、アキナ、トレンディエンジェル、博多華丸・大吉の3組に。
見事に、ネタの方向性が違う3組が戦うことに。


アキナは、1本目と同じく、アキナとしての色は十分見せたが、2本続けてみると、さすがに秋山の山名への手取り足取り過剰説明に飽きが。

トレンディエンジェルは、これまた、あまり内容を覚えていないが(^^)、楽しませてくれるネタ。ただ、ネタが終わって、「優勝にはちょっとどうかな…」と感じた。

そして、華丸・大吉。
「ユーチューバになりたい」のつかみで、早くも着火。あとは、1本目と同じく、終始ニコニコしながら見られるネタ。「飲み会での帰り方」という、半分、中年(あるいはサラリーマン)入っているテーマなのだが、おそらく若い人でも笑える構成になっているのが凄い(そういえば、1本目のネタでも、さらっと、人気ユーチューバーの名前を挟み込んでいた)。あとは、1本目の煽りVTRでも言っていたけど、「“人柄”も、笑いの要素となっている」という強み(“キャラ”じゃなく、“人柄”というのがポイント)。
「これはもう…」としか言いようがないほどの、完勝劇だった。


今回、華丸・大吉が優勝したことで、「ゆっくりした」「わかりやすい」というのが、テーマとして取り上げられているようですが、それとは別に、現在の若手の“層の薄さ”が見えた大会でもありました。
他に爆発を見せたのが三拍子ぐらいだったことにも、物足りなさを感じました(トレンディエンジェルに関しては、“爆発”ではなく、“安定感”だと思っている)

昨年のTHE MANZAIで、「決勝進出者に20代が一人もいないのが気になる」と書きましたが、その傾向は今後さらに強まっていく可能性も。
また、面白さ的に上位層に位置する若手芸人が、今後、ブレイク・プチブレイクすることで、こうした大会に出なくなっていくことでの、“レベルの下落”ということも十分予想されます。
今までであれば、こうした大会が面白くなかった場合、その原因を「決勝進出者を決めた選び方が悪い」というところに持っていくこともできましたが、今後は「決勝進出に足るだけの組がいない」ことの表れとなる事態になる可能性も。

華丸・大吉の優勝に拍手をおくる一方で、大きな危機感を感じた大会でもありました。
もし、これ以上、水準が下がるようなことがあったら、これまで優勝した組もバンバン出て、若手芸人という縛りなしに、本当に「今、日本で一番面白い漫才師を決める」決定戦にしてしまってもいいかな、と思ったりもしましたが(M-1が来年開催されるのだとしたら、明確な棲み分けも出来ますし)。

〔THE MANZAI/M-1グランプリ 過去記事〕
THE MANZAI 2013
THE MANZAI 2012
THE MANZAI 2011
第10回 M-1グランプリ
○第9回 M-1グランプリ(
○第8回 M-1グランプリ(
○第7回 M-1グランプリ(
○第6回 M-1グランプリ(
○第5回 M-1グランプリ(



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by momiageculture | 2014-12-16 01:25 | お笑い | Comments(0)

お笑い・音楽レビューを中心に続いています。細々と更新し、20年目。SPECIAL OTHERS、スカパラ、ゴッドタン、クイズ☆タレント名鑑 etc。/スポーツ系記事はこちら→http://agemomi.exblog.jp/


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