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「音楽」について、ちょっと考えさせられた3つのこと

今年は例年に比べて時間に余裕があったせいか、ipodを聴く機会が多い年でした。
ただ最近、「なかなか聞きたい曲が見つからないなあ…」ということがしばしば。
再生ボタンを押しても、「気分的にこの曲じゃない」と思って、またクリックホイールをクルクルまわし、「これでもない、あれでもない」と曲を探していることがよくあります。
たぶん「曲を入れすぎて(締めて15,000曲以上)、全部をフォローできなくなっている」というのが一番の原因(プレイリストも130以上)なのですが、もしかしたら「曲をじっくり聴く力」が落ちているのかもしれません。

そんななか、最近見ているのが、Eテレで放送している『亀田音楽専門学校』。
プロデューサー・ベーシストの亀田誠治氏が、J-POPの有名な曲を取り上げ、なぜその曲が人の心に響くのか、その構造を説明していく番組です。
もともと今年の正月に単発で放送されていて、「ん、これは面白い取り組みだな」と思った(そのときのゲストは平井堅)のですが、10月からレギュラー放送としてスタート。
正月での放送と同じく、30分という短い時間のなかで、それぞれの曲の“肝”を非常にわかりやすく説明してくれます。
なかでも、番組で印象的なのは、それぞれの曲の構造の素晴らしさを紹介するときの、亀田氏の“熱さ”。
以前、『MUSIC SOUP -45r.p.m-』(フジテレビONE/NEXT)で、“自分の好きな45曲”を紹介していたときにも感じたのですが、「この曲の良さを知ってほしい!」というときの“熱量”は、かなりのものがあります。
紹介しているときの「楽しくてたまらない」という表情は、見ているこちら側も嬉しくなってきます。
と同時に、「作っている側は、こんなに考えて作っているんだ」ということも強く認識させられる番組。
ひとまず来週が最終回(ゲストは森山直太朗)ですが、また来年、新たなシーズンを放送してほしいところです。

なお、冒頭で「聞きたい曲が見つからない」と書いたのですが、この前、ふとMASS OF THE FERMENTING DREGSが聞きたくなったときがありました。
もともと聞き始めたのは4年前、たまたまテレビで見た『FACTORY』がきっかけ。
ヴォーカル(兼ベース)とギターが女性、ドラムが男性という3人編成のバンドなのですが、とにかく何かが憑依しているかのような歌いっぷり、そして弾きっぷりには、かなりの衝撃を受けました。特に最後の『ベアーズ』の演奏は“衝動”そのものといっていいほど。
音はNUMBER GIRLに近い印象を持つ人もいるかもしれませんが、そこまでNUMBER GIRLを聞かなかった自分も、そのパフォーマンスは強烈に印象に残りました。
この時点で6曲入りのアルバムを2枚発表。今後はフルアルバムの発売も含めて、さらに飛躍するバンドになると思いました。
その後発売された3枚目のアルバムは9曲入り。かなり期待を持って聞いたのですが、過去2枚よりPOP色が加味されていて、ソリッド感をさらに倍加させるような音を求めていた自分としては、物足りなさを感じました。
次作でのさらなるパワーアップを期待したのですが、2010年8月にギターが脱退。さらに翌年にはドラムも脱退し、活動停止状態に。
ヴォーカル(ベース)の宮本菜津子は現在ソロ活動をしていますが、MASS OF THE FERMENTING DREGSの音とは一転、アコーディオンをバックに歌っています。
その移り変わりを見て、「音楽を続けていく」ということ、「音を作り続けていく」ということ、そして「歌を歌い続ける」ということは、「自分で道を作っていく」ことと同義語なのかなとも思いました。

その「音楽を続けていく」ということについて、2ヶ月ぐらい前に見た音楽サイトで興味深いコメントがありました。
発言の主は、Hi-STANDARDの横山健。その記事のなかで、サカナクションについて、「彼ら、10年早かったら100万、200万枚と売れてたバンドでしょう?」とコメントしていました。
インディーズで100万枚以上売った経験があるミュージシャンだけに、この言葉は重いです。
記事自体は「今の音楽業界とインディーズ・レーベルのあり方」について語ったもので、締めはポジティブな方向に持って行ってはいますが、少なくとも現状「ミュージシャンが活動を続けていく」というのは、相当シビアなものであることは伺い知れます。
なお、「音楽業界での新しい取り組み」という意味では、残響レコード社長(te'のギタリストでもある)の河野章宏氏も、自著『音楽ビジネス革命 -残響レコードの挑戦-』のなかで持論を述べています。詳しい内容については割愛しますが、読んでみて、非常に“スマート”な考えという印象を持ちました。
いずれにせよ、聞き手の“聞く手段”が激変するなかで、「音楽として良いモノ」がそれなりの対価を得るように持っていくためには、かなり“柔軟な考え方”が必要とされてくるのかもしれません。

最後はちょっと堅い話になってしまいましたが、ふと自分のことに返ってみて、今、「音楽を大事にしているか?」と聞かれると、正直「はい」と答えられる自信はありません。
もちろん音楽を聞いたり情報を仕入れたりすることが簡単になるのは、時代の流れで必然のことではあるのですが、それと同時に「音楽を大事にする気持ち」も軽くなってしまうのはどうなのだろう?
そんなことと考えさせられる、3つのことでした。
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by momiageculture | 2013-12-13 23:50 | 音楽 | Comments(0)

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by もみあげ魔神
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