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コントの未来は見えた? -「キングオブコント2013 レビュー」-

今週の月曜に放送された「キングオブコント2013」。
ちょうど放送している時間帯は出かけていたので、帰りの電車ではスマホを見ないようにして、帰宅後、HDDで一気にチェック。
事前番組(関東ローカルのみでの放送)は、正直「必要かな?」とも思いましたが、予想がつかない大会だっただけに、一体どうなるんだろうと思い、見始めました。

なお今年は、例年、実際の得点と自分の感覚が違うように感じることもあったため、初めて自分でも採点してみることに(100点満点で)。

で、実際採点してみて気づいたこと。
「コントの採点は難しい…」
正直、漫才と違って、笑いの絶対量だけで判断するというわけにも行かず。しかも、それぞれの個性があるので、漫才以上に、その個性と自分が好きな感覚が合うかが点数に表れてしまう。フラットに点数をつけるということは非常に難しいということが、実際につけてみてわかりました(これが、「どの組が一番面白かったか」という決め方ならば、まだラクなのですが)。

そんなこんなで、各ネタへの感想を書いていきます(順番は、番組での総合得点が下→上の順、得点は実際の得点/自分がつけてみての点)。


うしろシティ

1本目:「キツい同級生の上京」(773点/83点)

テレビで何度か見たことのあったネタ。正直、こうしたネタが一番採点が難しい(^^)。キツいヤツを引き留めに行く→思ってたよりキツいから納得する、という展開はよくできいてるし、セリフの選び方も平易な言葉かつ面白みがある。初めて見た人にもわかりやすいネタ。決して悪いネタではないと思うが、会場での得点は伸びず。
点数が上がらなかった原因を挙げるとすれば、緊張のせいか、いつもよりちょっとテンポが速すぎたところか(このネタでは大事な「溜め」があまり作れていなかった)。あと、阿諏訪の髪型がおかっぱ過ぎて、2人のキャラの区別がつきにくかったところも、個人的にはマイナスに感じた。
いずれにせよ、ネタへの評価に加え、「得点基準が無い状態」というトップバッターのマイナス面が完全に出てしまった感じ。

2本目:「『娘さんをください』と言ってきた若者が金持ち」(814点/82点)

1本目と同じく、設定がわかりやすいコント。展開も、箇所箇所でのフレーズも悪くない。しかし得点は伸びなかった。去年の転校生ネタもそうだったが、芸人審査の場合、もう少し独創性や狂気みたいなものがあった方が評価されるということか(8点はつけても9点はつけにくいというラインなのかもしれない)。
正直、一視聴者として見ていたよりは評価が低いように感じたが、うしろシティのネタを見ていると、面白いんだけどもう一展開欲しいなと感じることは結構ある。キングオブコントでも、せっかく4分もあるのだから、もう2・3個、転回点を作ってもよかったかもしれない。
来年以降も出場するかどうかはわからないが、できれば、こちらの予想を上回るようなさらなる捻りを加えて、再チャレンジしてほしいところ。


アルコ&ピース

1本目:「精子と卵子の遭遇」(831点/85点)

ネタの発想という意味では、ハッキリとした「色」を持っているコンビ。それが、芸人審査では、どう評価されるのかが見所でもあった。本人たちいわく壮大な「あるあるコント」は、結果、そこまで点数は伸びなかった。
個人的には何度か見たネタだったが、コントとしてはきちんとした骨組みのあるいいコントだと思う。ただ、点数をつけるとなると、非常に難しいところ(特に、最後の部分はほとんど笑いの要素が無いので)。
アルコ&ピースの場合、「着眼点は面白いが、それを『笑い』が超えていかない」と感じることも多い(それを超えたのが、コントではなく去年のTHE MANZAIだったというのが、お笑いの予測不能なところ)。
なお、苦情云々については、ゴールデンで見ている人が多くなれば、まあ苦情も来るでしょう(今までテレビでやったことが無いネタというわけでもなかったし)。

2本目:「大袈裟な携帯の機種変更」(808点/81点)

目のつけどころは、いかにもアルコ&ピースらしいネタ。ただ、全編通じて、平子の演技がネタに勝っちゃってるため、感情移入するのはちょっと難しかった。酒井の冷静な演技っぷりは、ネタの内容によったら、爆発の可能性を秘めているようにも感じたが。オチも弱く、全ネタ中、うしろシティの1本目に次ぐ点数の低さに。
今回は、1本目も2本目もアルコ&ピースの「色」がハッキリと出たネタだったが、爆発までは起こせず。この2本に限らず、入りのインパクトが強いネタだけに、徐々に笑い度が薄くなってしまうケースも見られ、できれば現ネタをさらに改良していってほしいところ。
なお、苦情殺到のアナウンスがあった後、ある意味、見事なフォローを見せたインスタントジョンソンが、今回の芸人審査員のMVPでは。


ジグザグジギー

1本目:「狼男になりそうでならない男」(825点/80点)

基本、1テーマでネタを貫徹するコンビ。その貫徹するさまが笑いを生み出すのだが、今回はちょっと不発だった印象。後半の「ペロペロさせて~」のくだりも、もう少し中堅どころがやると、また違った反応になったかもしれないが…。
「出欠」はキングオブコントでやるにはネタバレし過ぎているかもしれないが、「お会計」や「喫茶店」「椅子取りゲーム」あたりのネタで勝負してもよかったのではと思った。

2本目:「握力が異常に強い男」(819点/80点)

1本目に続き、「握力の強さ」一本で行くネタ。ジグザグジギーらしいネタではあったが、池田の膝の動きがリフティングにしか見えなくて、そっちが気になってしまった。
今回見たネタでは、全体通じ唯一冗長に見えてしまったネタでもあり、期待していたコンビだっただけに、ちょっと残念。
単独でみると若手のなかでも十分個性のあるコンビだが、こうしてキャリアのある芸人に囲まれると、力不足も垣間見られた今大会。
今がMAXで終わるのではなく、今後のさらなるパワーアップに期待したいところ。


TKO

1本目:「怖いぬいぐるみ」(896点/84点)

箱から出てきた、木下のインパクト(^^)。Over40の二人が全力で、怖いぬいぐるみと怖がる子どもを演じるコント。1stステージのネタ順は6番目だったが、オーソドックスなネタをすると思っていたTKOが、結構濃ゆいネタを持ってきたこともあり、もはや評価の基準がわからなくなってきた。
審査員の得点はもう少しで900点という比較的高い点数だったが、動きも含めた本気度という点で高く評価されたといったところだろうか。木下の巨体を考えると、現場で見ると、さらにインパクトがあったかも。

2本目:「ローカル局の生電話コーナー」(808点/84点)

ベタと言えばベタな設定と言えるネタ。それがマイナスに出たか、点数は低かった。ただ、個人的には「ちゃんとしたネタ」という印象。ネタの新しい古いはともかく、1本目も含めて、TKOが決勝のメンバーに入ったのはわかる気がした。
ネタの方向性がどんどん拡散していくなか、オーソドックスな展開のネタで見せるという手法は決して悪くないと思う。


さらば青春の光

1本目:「ライブを見たおっちゃんの感想」(899点/85点)

バイトの若者のライブを見に行ったおっちゃんが、その歌詞に衝撃を受けての次の朝、というネタ。会場の反応は、最初に芸人がウケて、その後、一般のお客さんがウケてという感じがした。
設定として、そこまで斬新なコントというわけではないが、森田のキャラ作りが、かなりそれっぽいので、引き込まれる部分がある。
面白さに加えて、「意味」もあるコントであり、コントとしての価値は高いと思った。
なお、さらば青春の光の場合、昨年の2本目のネタもそうだが、実際の笑いの量よりも得点が高いという印象があるが、芸人としては、どのあたりが評価したくなるところなのか、聞いてみたい気がした。

2本目:「オカリナって、どっちやねん?」(847点/85点)

最初のフリがあって、その後は、オカリナ一本で行くネタ。
このネタも、森田の演技力が光った。地味だが、東口の抑えた感じも悪くない。ただ、オチは弱かったか。得点は1stステージほど伸びず、最終的には4位という結果に。
インパクトという意味では、上位3組ほどのものは残せなかったかもしれない今大会。ただ、その存在感は見せたと思う。今後、今回の出場で興味を持った人からオファーが届き、仕事が広がっていく可能性はあるだろうか。


天竺鼠

1本目:「寿司ダンス」(879点/84点)

イクラさんと玉子さんだとテンションが上がって、〆サバさんだと一気にテンションが落ちる小学生のネタ。
「やりよったな」という浜田の言葉が全てを表していた。「らしさ」という意味では、これ以上ないほどの天竺鼠らしさ全開のネタ。
できればもう2ネタ(「寿司のネタ」という意味のネタ)ぐらい出てくるのではと思って見ていたので、少し物足りなさは感じたが、あの発想は天竺鼠しか出てこないだろう(ネタが終わってTHE GEESEが笑っていたのが見えたが、ちょっと感想を聞いてみたかった)。いい意味で、「こんなの、評価とかもう必要ねえよ」と思ってしまうネタ。
なお、このネタで何よりよかったのは選曲。曲を作った人も、まさか遠い日本で、寿司踊りに使われるとは思っていなかっただろう(^^)。

2本目:「ハネてしまったお詫びに自分を殴る男」(946点/84点)

見終わった後の感想は「くだらね~」の一言(^^)。これも天竺鼠にしかできないコントだったが、欲を言えば、もう少し展開が欲しかった(もちろん、真っ当な展開じゃなくて、奇天烈な展開で全然構わないので)。
あと、川原の動きに合わせて擬音が鳴るのを見ながら、「1本目のあの曲流してみたらいいんじゃん」と思った(実際にやるのではと、ちょっと期待した)。
芸人の評価も高く、1stステージのかもめんたるを上まわる得点。
しかし、何と言ってもハイライトは、点数発表後の、川原の「じゃあ、パンサー」。
あまりの出来事に、あの浜田が、突っ込むのに一瞬間が空いたほど(浜田の過去のツッコミのなかでも最遅では)。
このシーン以外でも、川原のコメントは絶好調。ネタの方では3位に終わったが、残したインパクトは、この日一番だったのでは。
こうなってくると「THE MANZAI」での期待も高まるところ(「ベ~ロベ~ロベ~」をゴールデンでやったら、苦情殺到だとは思うが)。


鬼ヶ島

1本目:「悪魔に憑りつかれた野田君」(904点/82点)

アイアム野田を全面的にフューチャーしたネタ。鬼ヶ島らしさが出たネタだとは思うが、展開が大きく分けて2つぐらいしかなかったのが、ちょっと食い足りなかった。
もう少し、おおかわらの異常性も見てみたかったし、もともとそんなに重要な役どころが多いポジションではないとはいえ、和田の存在感が、ネタの後半に行くにつれ、どんどん無くなってしまったのも残念。
鬼ヶ島に何を求めるかによって、評価の仕方は異なると思うが、鬼ヶ島3人の魅力が出たコントが見たかったという意味で、点数は低くつけた(「野田頼みからの脱却」というのが実はブレイクのポイントではないかという気もしているので)。
なお、最後のセリフ噛みは、メンバーの落ち込みとは裏腹に、逆に50点ぐらい点数を上げたのでは。

2本目:「『ケペポー!!』とフィフレ」(950点/85点)

見終わった瞬間の感想は「わかんねーよ!(^^)」。
正直、そんなにお笑い芸人に詳しくない人が、気軽に「コントの一番決める大会なんだ~」と思って見たら、ア然とするだろう。
実際の得点自体は高評価で、かもめんたる1組を残して、暫定1位。もし、これで鬼ヶ島が優勝していたら、時代が鬼ヶ島に追いついたと言うべきだったのだろうか。
1本目、2本目とも、高得点を記録した鬼ヶ島だったが、個人的には、2年前のキングオブコントの「あやつり人形」ネタの方が好き。
1本目の感想でも書いたが、野田が爆発するのは当然のこととして、おおかわらの異常性も発揮されて、さらに和田も存在感を見せるようなコントができたら、さらに大爆発すると思う。


かもめんたる

1本目:「言葉を売るアーティストと金持ちオバサン」(923点/89点)

言葉売り系を茶化すというのは、ある意味、よくネタでありがちなパターンとも言えるが、それを「面白いコント」のレベルまで引き上げたのは、う大の「滲み出るブラックさ」だと思う。
「お金持ってるから買ってあげる」「そんな言葉、全然刺さらない」という返し自体は、思い浮かぶ人もいるかもしれないが、心底そう思ってるんだろうなと見ている人に思わせるう大のキャラ設定は見事。
さらに後半での「ピエロのブライド?…。これはいいわね」「あんたはそんな子じゃない」といった変化球も、じわりと効いた。
「面白さ」も「意味」もある、いいコント。

2本目:「斎藤さんの家来」(982点/88点)

う大のキャラ設定が完璧だったネタ。「自分、斎藤さんの家来なんで…」というところで起きた芸人の笑いの量で、ほぼ優勝が決まったと思った。
槙尾の演技も上手いが、なんといっても、う大のおどおど感のハマリ具合が半端ない。1本目とは打って変わってのキャラ変更ぶりに、コンビとしての幅の広さも感じさせた。
芸人審査では、1本目・2本目ともトップだったが、個人的にも、どちらのネタも8組のなかでは一番。2本目より低い得点にしたのは、最後の「ストーカー」というオチの後味の悪さでの減点。このオチをふまえてもう一度ネタを見直すと、かなり怖い(^^)。
いずれにしても、文句無しの優勝だと思った。

なお、今後、しばらくの間は露出が増えるかもしれないが、昨年のバイきんぐ小峠の「明」な感じとは違い、どちらかというと「陰」な部分を持ったコンビということもあり、ブレイクが約束されたとは言い難いかもしれない。
ただ、昨年の3位に続き、改めてコント芸人としてのポテンシャルは証明された、かもめんたる。「ワラッタメ天国」のネガティブイングリッシュは、芸人としての「色」がうまく出たネタだったと思うし、もしかしたら、う大のネガティブな感じがハマるような露出の仕方もあるかもしれない。
「キングオブコントでは優勝したけど…」なんてネガティブな見方は気にせず、色々な場面で活躍する姿を見せてほしいところ(役によっては、ドラマ出演もハマるのでは)。


なお、個人的採点を合計してみると、下記のようになりました。

 1位 177点(89、88) かもめんたる
 2位 170点(85、85) さらば青春の光
 3位 168点(84、84) 天竺鼠
 3位 168点(84、84) TKO
 5位 167点(82、85) 鬼ヶ島
 6位 166点(85、81) アルコ&ピース
 7位 165点(83、82) うしろシティ
 8位 160点(80、80) ジグザグジギー

最初にも書きましたが、いざ自分で点数をつけてみようとすると、コントは本当に難しい。
芸人審査員の場合は、それこそ持ち点が10点しかないわけで、実際の得点から想像すると、7点-ちょっと厳しいかな、8点-面白いところはあったが物足りなさも、9点-かなり面白い、10点-無茶苦茶面白い、といったところでしょうか。
これが同じプロの審査員方式でも、全10名で一人の持ち点100点とかだと、また結果は違ってくると思います。

全体的には面白かった、今年のキングオブコント(ただ、ちょっと小林アナの笑い声は気になったかな)。
もう1つか2つ爆発ネタが見たかったという点では、大満足とまではいきませんでしたが、天竺鼠の凄さがもっと世の中に知られるようになることを期待しつつ、また来年の大会を待ちたいと思います。
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by momiageculture | 2013-09-28 02:51 | お笑い | Comments(0)

お笑い・音楽レビューを中心に続いています。細々と更新し、20年目。SPECIAL OTHERS、スカパラ、ゴッドタン、クイズ☆タレント名鑑 etc。/スポーツ系記事はこちら→http://agemomi.exblog.jp/


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