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矢野真紀は売れるか?

音楽を聴く楽しみの一つとして、まだあまり名を知られていないんだけど、これから売れるのではないか、というアーティストを探して聴く、ということがあります。
そうしたアーティストが実際に売れた時は、結構嬉しいものです(一方で、メジャーになってしまったことへの寂寥感を感じる、というケースもあると思いますが)。その一方で、あまりメジャーにならずに、解散したり、活動をやめてしまったりすると、すごく残念な気持ちにもなります。

今回紹介する矢野真紀は、そうした、今後売れるといいなあ、と思うアーティストの一人です。
1999年にデビューし、今までアルバムを5枚(うち1枚は7曲入りで、そのうち3曲がライヴから、という変則のCDですが)出しています。
キャリアもそこそこあるので、知っている方もいると思いますが、まだ認知度は低いのではと思います。
「どんな感じの曲?」と聞かれたら、「椎名林檎とcoccoを足して2で割って、そこにグレイプバインを足し、あと独自なものを加えた感じ」といえるでしょうか(「3rdアルバムまでは」という但し書きはつきますが)。

矢野真紀の最大の魅力は、その“歌力”(うたぢから)です。
僕が初めて知ったのは、以前NHK衛星で深夜にやっていた「新・真夜中の王国」という情報番組のライブ特集でだったのですが、はじめて知ったにもかかわらず、その歌(声)の力強さに圧倒されました。これだけ声に力強さがあり、なおかつ表現力もあるという歌い手は、なかなかいないと思いました。

前述したように、これまで出したアルバムは5枚ですが、1st 「幸せな夜 儚い時間」は、相馬一博という人がプロデュース。
2nd 「そばのかす」、3rd 「たからもの」(これは7曲入りと、ちょっと短い)は、椎名林檎などのプロデュースで知られる亀田誠治氏がプロデューサーを努めています。僕は、この2nd の時に知って、以来よく聴くようになりました。
続く、4th 「この世界に生きて」からは、寺岡呼人・藤井謙二(元my little lover)プロデュースに代わり(藤井氏はサブ・プロデュース名義)、昨年発売された5th「はるか-遙歌」では、その2人に矢野真紀自身を加えた3人のプロデュースとなっています。

1stはちょっと置いておいて、2nd・3rd と 4th・5th は、やはりプロデューサーが違うということで、アルバム全体の印象が違います(ちなみに、4th以降は、前述の感じに加えて、松任谷由美的な音が加わったように感じます)。
個人的には、2nd・3rdの感じの方が好きなのですが、また違った方向性を試してみる、という意味ではプロデューサーを変えたアルバムを出したことは意味があったと思います。
また、2nd から一貫して、その歌力自体は落ちていないとも感じます。どんなメロディラインでも情感を出して歌える、また歌い方は暗いんだけどそこに希望みたいなものも込めて歌える、といった所は、歌い手として誰もが持てる力ではないと思います。

と、これまでざっと、矢野真紀の魅力を書いてきましたが、その一方で、これまでそうした実力に見合うだけの評価を受けてきたかというと、残念ながらそうとは言えないように思います。
セールス的な面でも、正直な所、苦戦しているのではないでしょうか(実際のところはわかりませんが)。
ルックス的に映えるというタイプではなく、かといって、椎名林檎・cocco・鬼束ちひろのような、ある意味でのわかりやすさもない、ということで、女性歌手としてもう一つアピールポイントに欠ける、という所もあるのかもしれません。

また、昨年は、シングル「キラキラ映して」がエステティックTBCのCFソングに起用。さらに今年に入って、SMBCフレンド証券のCMでも「遠い世界に」という曲が使われているのですが、どちらもCMに「矢野真紀」のクレジットが入っていたものの、あまり曲自体が聞こえてこないということもあり、知ってもらうにしては効果が薄いのではとも思いました(ちなみに、どちらもフルバージョンは未聴)。

ニューアルバムリリースの予定(時期は未定)もあるようですが、そろそろ6枚目にもなる、ということで、今後もリリースを続けていけるか結構微妙なのでは、と勝手な心配もしてしまいます。
何度も言うようですが、これだけ歌に力がある歌手というのは、そうはいない(よく「歌唱力抜群!」というキャッチフレーズが使われますが、そういった言葉だけでは測れないものを持っています)ので、なんとか売れてほしいのですが、今後、レコード会社の戦略も含めて、さらに、より多くの人にその存在を知ってもらうための工夫をする必要がある、とも思います。

なお、初めて聴くのであれば、2nd 「そばのかす」(2001年のリリースですが)を、聴いてみて「いい!」と思ったら3rd → 4thと聴いていくのがいいと思います。


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Commented by ばつイチ at 2005-03-13 19:36 x
momiageculture様、トラックバックおよび拙ブログへのコメントありがとうございました。
矢野真紀の素晴らしさは、聴いてもらえたら解ってくれる人、けっこういるんですよね。ミリオン歌手になって欲しいとは思わないんだけど、コンスタントにリリースできて地方都市でも定期的にライヴができるだけの採算がとれるポジションは確立してもらいたいものです。ある程度、知名度が上がってペイできる様になってもらえれば、と思うのですが。
Commented by momiageculture at 2005-03-13 23:41
>ばつイチさん
書き込みありがとうございます。
仰るとおり、ずっと聴いてきた身としては、「ものすごい売れてほしい」というわけではないけど、「とにかく、まず聴いてほしい。それで気に入る人が増えてくれれば…」という気持ちですね。
いずれにしても、次回作も、期待したいと思います。

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by momiageculture | 2005-03-13 00:00 | 音楽 | Comments(2)

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